
国スポは計7試合が開催された。山梨学院高と高川学園高による決勝の試合時間は1時間41分[写真]。今大会の最短は1時間28分、最長は2時間2分だった[写真=太田裕史]
7回以降の醍醐味が……
山梨学院高の初優勝で幕を閉じた滋賀国スポでは日本高野連が主催する公式戦として、初めて7イニング制が実施された。今回の試験導入を受けて監督、選手の声を拾ってみた。
多く聞かれた意見は、7イニングに対しての不安のほか、やや否定的な意見だった。今夏の甲子園で初の全国制覇へと導いた沖縄尚学高・比嘉公也監督は県岐阜商高との1回戦で初回から積極的に盗塁を仕掛け、得点のチャンスをうかがっていた。
「(7イニング制は)どんどん点を取れば(相手に)プレッシャーがかかると思いました」と振り返った。一方で「選手層が薄くても、好投手が1人いれば、勝ち上がれる可能性が広がる。トーナメントならではの面白さがあるかもしれないですね」。
夏の甲子園準優勝の日大三高・三木有造監督は「試合の展開が早く感じました。1回を終えて『あともう、残すは6回か』という感じでした。その中で思ったのは、先制点の大きさですね。三番を打つ選手を二番に上げるとか、あとは、大量得点が入りにくいようにも思いました」。
優勝した山梨学院高は、投手に加えて、打撃センスも高い菰田陽生(2年)を尽誠学園高との1回戦で「二番・一塁」で起用していた。「菰田に1打席でも多く立たせたかった。良い打者は上位打線に、という気持ちです」(吉田洸二監督)。打順の組み方にも影響はあったようだ。
仙台育英高・須江航監督は系列の秀光中で監督を12年間務めた経験がある。当時から7イニング制の試合を何度も経験してきた。
「高校野球で7イニングがいいとか悪いとか現時点では判断できないですが、今回やってみていろいろな意見が出てくると思います。試しながら、子どもたちがどう感じているのかを直に聞いてもらいたいですね。プレーするのは選手。彼らの声を聞いて、その上で周りが最善の選択をしてもらえたら。でも、強いて言うとすれば、選手の出場機会が減ってしまうというのがどうかな? というのはありますね」
今夏の甲子園で公立勢唯一の16強入りを遂げ、準決勝に進出した県岐阜商高・藤井潤作監督は「個人的には、私は9イニングが良いです」と明かした。その理由を「野球はやっぱり7、8、9回が一番面白いので、それがなくなってしまうのは寂しいです」と明かした。今夏の甲子園でも試合終盤の粘りを身上としていただけに、説得力のある言葉だった。
1試合の疲労度は軽減
同じような意見は、選手からも多く聞かれた。沖縄尚学高・眞喜志拓斗主将(3年)は「あっという間に終わってしまった。好きな野球なので、やっぱり1イニングでも多くプレーしたい」と、物足りなさを感じた選手の声が多かった。一方で、決勝まで3試合を戦った山梨学院高・梅村団主将(3年)は「9イニングを戦ったあとは体の痛みを感じることがあったけれど、7回だと疲れたなと感じたことは1度もなかったです」。真夏の大会となると、さらに大きな違いを体感する可能性もある。
日本高野連・井本亘事務局長は初日の4試合を終えたあと、報道陣の取材に応じ「今回の国スポである程度、どんな具合だったのかこれからデータ等を集めて、どうしていくかを考えていきたい」との考えを示した。日本高野連としては7月に7イニング制について加盟校の監督や選手らにアンケートを実施しており、賛成、反対とさまざまな意見があったという。「今回、初めてトライさせてもらいましたが、来年すぐに(7イニング制を)やる訳ではない。今後も議論を重ねていきたい」。国スポを経ての意見も集約し、12月には、ある程度の方向性をまとめる予定だ。(取材・文=沢井史)