2026年3月に迫ったWBCを見据え、年内最後となった実戦の舞台。侍ジャパンは勝利とルールへの適応という2つのテーマを掲げながら、韓国に対して1勝1分けで乗り切った。 取材・文=杉浦多夢 写真=高原由佳 
井端監督にとってはルールへの適応とともに、課題があぶり出されたこと自体が収穫となった
最大のテーマを勝敗とは別に設定しながらも、しっかりと勝利をもぎ取る。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の本番に向けて確かな手応えを得ることができた。
第1戦は4回に二番手の
森浦大輔がまさかの2者連続の被弾で3点を先制されるも、直後に
牧秀悟の適時打と西川史礁の2点適時二塁打ですぐさま同点に。続く5回には代打・
岸田行倫の勝ち越し3ランから
坂本誠志郎、佐々木泰にも適時打が飛び出し、一気に6点のビッグイニングとして勝負を早々と決めた。

第1戦で2安打2打点の西川。国際大会における積極性の重要さを示した
井端弘和監督が「初対戦であのスイング。打てるボールをどんどん打っていける」とたたえた西川の同点適時打をはじめ、岸田の3ラン、佐々木の適時打はすべて初球。相手のデータが少ない国際大会において、好球必打の積極性はWBC本番でもカギとなるはずだ。

第1戦の5回に代打で登場した岸田は侍ジャパン唯一の本塁打となる勝ち越し3ランでアピールに成功
一方、第2戦では課題も浮き彫りになった。指揮官が「今日のほうが(第1戦よりストライクゾーンが)狭いのかなと思って見ていた」と言うように、投手陣は先発の金丸夢斗を筆頭に四球が絡んで失点を喫する悪循環。3点を先制された直後の4回には佐々木の適時打を皮切りに同点に追いつくと、再び1点ビハインドで迎えた5回は
石上泰輝の2点適時打などで逆転するなど「取られたら取り返す」を実践したものの、「点を取れるチャンスはほかにもあった」と井端監督が振り返るように、4つの押し出しを含めて12四球と大荒れの韓国投手陣につけ込み、たたみ掛けることができたとは言えず。7対6の9回二死、あとアウト一つのところで六番手の
大勢が痛恨のソロ本塁打を浴びて、引き分けに終わった。

第2戦の7回二死一、二塁から中前打を処理した五十幡亮汰が本塁へ好返球で補殺。両チーム合計21四死球という荒れた試合の中で好守が光った

第2戦の9回にクローザー候補の1人である大勢はまさかの同点弾を浴びた
第2戦は勝ち切ることができなかったものの、それでも2試合を通して確かな収穫を得ることができたと言える。相手はWBC本番の1次ラウンドで同じC組に入っている韓国であり、前哨戦と言える戦いだったが、井端監督は戦前から「勝負である以上、勝ちにいく」としながら、宮崎での直前合宿も含め「ピッチクロックとピッチコム。日本にはないルールに慣れること」を最大のテーマとしていたからだ。

ピッチコムやピッチクロックといったルールへの対応こそが今回の強化試合における大きなテーマだった
走者がいない場合は15秒、いる場合は18秒以内に投球動作に入らなければならないピッチクロック、捕手と投手のサイン伝達機器であるピッチコムへの対応は、WBCで採用されることを考慮すれば必須事項。その上で「投手はMLB球に適応できていたし、ピッチクロックやピッチコムには捕手も投手も宮崎合宿のときより余裕が出ていた」という言葉が最大の収穫だろう。
吉見一起投手コーチも「違和感なくできた」とうなずいていた。
第1戦で先発して3回をパーフェクトに抑えた
曽谷龍平はピッチクロックについて「投げ急いだ部分もあった」と語りながら、「思ったよりも余裕があった」と振り返る。ボールを受けた坂本も「最初は投げ急ぎもあったが、だんだん慣れてきて時計を見ながらできたし、投手も時計を見ながら時間をつくってくれた」と手応えを口にしていた。

第1戦の先発・曽谷は3回完全投球の中でも課題を口にした
本番に向けては情報や得た課題をチームで共有しながらも、ルールへの対応については井端監督の「各々がルーティンを見つけることが必要」という言葉を実践していくことが重要になっていく。
第1戦 ■2025.11.15@東京ドーム □試合開始=18時36分 □試合時間=3時間14分 □入場者=4万1631人
第2戦 ■2025.11.16@東京ドーム □試合開始=19時8分 □試合時間=3時間34分 □入場者=4万1627人