西武は11月10日、今井達也のポスティング制度によるメジャー挑戦を認めたと発表。高橋光成と合わせ、2人の主力投手が来季の先発陣から消える可能性が高くなった。 
来季からメジャーでのプレーを目指すことになった今井[右]、高橋[写真=BBM]
マイナス「18」――。球団にとって簡単な判断ではなかったはずだ。今シーズン、西武の先発ローテーションを担った高橋光成、今井達也。高橋は24試合に先発して148回を投げ、8勝9敗、防御率3.04。今井も24試合に先発して163回2/3を投げ、10勝5敗、防御率1.92。このオフ、ポスティング制度によるメジャー・リーグへの移籍が実現すれば「18勝」が消え、来季は「311回2/3」をほかの先発投手で賄う必要がある。
広池浩司球団本部長のコメントからも“苦悩”がにじみ出る。高橋のメジャー挑戦を受諾した際には「彼は多くのイニングを任せられる存在であり、しっかりと試合をつくってくれる投手ですので、本音を言えば来季以降もライオンズでプレーしてほしいですが、以前から伝えられていた本人の思いを踏まえ、今年がその挑戦のタイミングであると判断しました」と語り、その後、今井のケースでも「近年チームに大きな貢献をしてくれた選手ですので、今井が抜ける影響はありますが、若手の成長や編成面で戦力を整えて戦っていきます」と口にしている。
メジャーという野球界最高峰の舞台がある限り、上昇志向を持つ選手がそこを目指すのは止められない。特に今井は
本誌連載のコラムで夏場、以下のように綴っていた。
「実は個人として野球に対するモチベーションが最近変化してきたのが正直なところです。もちろん、チームが一つでも上の順位に行くために、一生懸命に投げます。ただ、“こんな野球でいいのか”という思いが強くなっているのは確かです。ある試合では、それが顕著でした。ほかの投手のときと僕のときでは相手のスタメンが全然違うんです。
マウンドに立っている者としての視点ですが、僕からホームランを打とうとしない。それは長打を期待できる打者がスタメンから外れていることで明らかです。だから、勝負をするというモチベーションがなかなか持てないときがあるんです」
日本ハム時代の
ダルビッシュ有(現パドレス)が対戦する前から相手打者が「打てない」と白旗を揚げる状況に「日本ではフェアな勝負ができない」と感じたことと相通ずるものがあるだろう。
主力選手の流出が多い西武。広池球団本部長が言うように来季を戦い抜くためには若手の成長や補強にかけるしかない。2018年に14勝を挙げた
菊池雄星(現エンゼルス)がオフにポスティング制度でメジャー移籍したが、そのときは翌年、高橋が自身初の2ケタ10勝を挙げるなど前年の2勝から大きく飛躍。新外国人の
ザック・ニールも12勝とマイナス「14」を補った。
現在のチームにも
菅井信也、
篠原響、
杉山遙希、育成の
佐藤爽、
冨士大和ら潜在能力が高い先発は多い。一昨年に10勝をマークして新人王に輝きながら、今年は5勝に終わった
武内夏暉もいる。7勝だった7年目の
渡邉勇太朗もまだまだ成長の余地はあるだろう。
西武の投手陣には個々が理想の姿を追い求め、チーム内で刺激し合うカルチャーが色濃く漂う。成長する土壌はしっかりある。2人の主力投手が抜けることで、誰が飛び出してくるか楽しみだ。
<高橋光成コメント> 「球団にはこの挑戦を後押しいただき、本当に感謝しています。自分の意思を尊重してもらえたことがうれしいです。この決断が間違っていなかったと思えるように、精いっぱい頑張りたいと思っています。ずっと球団には思いを伝えてきましたし、昔から夢だった場所でもあるので、こうしてチャンスをいただけたことに心から感謝しています」
PROFILE たかはし・こうな●1997年2月3日生まれ。190cm105kg。右投右打。群馬県出身。[甲]前橋育英高-西武15[1]=11年。通算成績196試合、73勝77敗、防御率3.39。
<今井達也コメント> 「自分の要望を受け入れていただいたことに感謝しています。話し合いを重ねるなかで、さまざまなことを考慮し、また長い時間をかけて判断してくださったことに感謝の気持ちでいっぱいです。これまで毎年、リーグ優勝や日本一を目指してプレーしてきましたが、その思いはチームが変わっても同じです。勝利にこだわり、チームの力になれるよう全力で投げていきます」
PROFILE いまい・たつや●1998年5月9日生まれ。180cm80kg。右投右打。栃木県出身。[甲]作新学院高-西武17[1]=9年。通算成績159試合、58勝45敗、防御率3.15。