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トライアウト存続の意義 今年は選手会主催で再出発

 

「挑め、その先へ」――。今年のトライアウトは、選手会主催で装い新たに開催された。参加選手が望むNPB復帰をはじめ、野球人生の「その先」へとつながる場。選手会が存続させた再挑戦の場、その意義があらためて注目されている。
取材・文=相原礼以奈 写真=早浪章弘

当日は球団などの関係者114人に加え、一般のファンら4174人が来場。選手たちのシート打撃の様子などを見守った


 現役続行へのアピール、NPB復帰へのチャンス、野球人生の区切り。「エイブル トライアウト2025〜挑め、その先へ〜」は11月12日、広島市のマツダスタジアムで開催され、今季NPB12球団で戦力外通告を受けた選手や独立リーグ球団所属選手の計38人が参加した。昨年まで主催した日本野球機構(NPB)は、重要度が薄れているなどの理由で廃止を決定。しかし、現役選手や過去のトライアウト経験者ら170人ほどを対象としたアンケートで「開催すべき」「出て良かった」との声が多く出たことから、日本プロ野球選手会の主催で継続となった。

 日本プロ野球選手会の森忠仁事務局長は言う。「意義は変わらず、ここでチャンスを選手に与えられたらと。12球団の編成担当者はシーズン中も見ているので、ここで決めることはないだろうとは言いますが、シーズンはケガで出られなかった選手もいる。最終的な確認をしていただけているのかなと思います」。

 参加した又吉克樹(前ソフトバンク)は、準備期間を「一つの区切りに気持ちを持っていく、新たな感覚も経験できた」と前向きに振り返り、トライアウト存続の意義は大きいとうなずく。「やっぱりブルペンで投げるのと、試合で投げるのは違う。試合(対戦)の結果、バッターの反応がどうだったかというところを見てもらえるのはすごくありがたいです」。

 田村伊知郎(前西武)は「この場があるのとないのとでは全然違い、この機会を与えてくださった関係者の方々に感謝します」と晴れやか。プレー時にはスタンドで自身の名前入りタオルを掲げるファンの姿も目にしたという。「シーズン中から多くの方にいろいろな形で応援していただき、最後にそういう方にライオンズユニフォームの姿を見せられて良かったと思います」。

 冠特別協賛スポンサーとなったのは、不動産や人材活用の事業を展開するエイブル。これまでも選手会が主催するイベント「キャッチボールクラシック」に協賛するなどつながりを持ってきた。今回は、トライアウト開催に加えて、人材紹介の部門のノウハウを生かしてセカンドキャリアの相談先としても協力。会場では、選手がエイブルのキャリアコンサルタントと面談できる仕組みが整えられた。

 トライアウトは、現役続行を希望する選手がチャンスをつかむために参加することが基本だ。しかし同時に、選手のセカンドキャリア問題とも切り離せない場である。森事務局長はこの試みに期待を寄せる。「選手が野球をやめるとなったとき、どこに、誰に連絡していいか分からない。顔合わせをしておくと、何かの拍子に思い出して連絡もできる」。

 プロ野球選手のセカンドキャリアについては、選手会などが協力してNPBが発行している冊子「NEW BALL」(NPBウェブサイトで閲覧可)で発信しているものの、具体的な動きはあまりできていなかったと森事務局長は振り返る。「多くの選手が『野球しかやってこなかった』と言うが、エイブルなど一般企業の社長さんと話すと、『野球だけやってプロにまでなった、そこがすごいんだ』という感覚。そういう意味でも、専門家にやってもらえたらと。野球をやめたあともしっかり働いて、しっかり輝いて人生を送る道はある。野球をやめたあとも大丈夫なんだと示していくことは、すごく大事なことだと思います」。

トライアウト終了後、報道陣の取材に対応する日本プロ野球選手会の森事務局長


 今回のトライアウトを受けた38選手のうち、11月24日時点でNPB球団からのオファーが明らかになっている選手は川原田純平(前ソフトバンク→巨人)ただ一人。厳しさを物語る結果だが、選手会は来年もトライアウトの継続を見込み、早期の会場確保から着手するとしている。
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