選手のプライベートタイムをのぞき見するオフ企画。第2回は西武・與座海人の陶芸体験に密着した。ライオンズではかつて現役時代の石毛宏典が自主トレに陶芸を取り入れたことがあったが、球界屈指のサブマリンもその魅力にとりつかれた。 取材=小林光男 写真=菅井真凜 取材協力=ゆう工房 東京青山教室 
西武・與座海人
新シーズンに向けてオフも精力的に体を動かしている與座海人。年明けには
高橋光成、
渡邉勇太朗とともにアメリカへ旅立ち、最先端のトレーニング施設で投球のレベルアップに励んでいる。ただ、プロ野球選手は“オン”だけでなく“オフ”も非常に重要。野球から離れた時間をいかにリ
ラックスして、有意義に過ごすかも大事なことだ。昨年12月、練習の合間を縫って、與座がリフレッシュに選んだのは陶芸。東京都港区青山にある「ゆう工房」で出身地・沖縄の守り神であるシーサーの制作を体験した。
小学校中学年ごろ、授業で陶芸を行い、シーサーの顔を作った記憶があるという與座。そのとき以来、久しぶりに陶芸と向き合うことになった。まず原料になる陶土を口、体、パーツの3つに分け、それぞれを形作っていく。シーサーと言えばやはり口の形がカギになる。理想どおりのいいあんばいに湾曲した口を作るのに「難しいな」とつぶやきながら、手を動かしていく。目、鼻、耳、牙、たてがみなどの各パーツのサイズも全体のバランスが崩れないように形にしていく必要がある。
時折、陶芸講師のアドバイスに耳を傾けながら黙々と作業に没頭していく。プロ野球選手、それも投手だけに、ボールのアクセサリーも。竹串などを駆使して目玉や模様を描く。最後は断念したが、ボールには縫い目を作り込もうとする執念も見せた。作り上げた各パーツにクシ目と水をつけて口や体に接着し、すり込む。ヘラや竹串を使って、しっかり継ぎ目をなくして完成。さらに窯で焼き上げる焼成の工程は残っているが、ひとまず約1時間でオリジナルのシーサーが出来上がった。
「上出来じゃないですかね(笑)。全体のバランスもすごくいいのではないかと思います」と満足そうにうなずいた與座。陶芸講師も「作業中に『こうするといいですよ』と随時お伝えしましたが、それがすぐにできていらっしゃいました。非常に器用な方だなと感じました」と二重丸を付けた。
與座の父・貞央さんはテニスのインストラクター。幼少時から父がラケットのガットを張る作業を目の当たりにしていた。手作業が身近にあり、手先の巧緻性が自然と身についたのかもしれない。今ではグラブの修理を自分で行うこともあるという。
自らの器用さを存分に生かせる陶芸。「趣味にしてもいいかも」と笑顔を浮かべたが、野球との共通点も感じた。「やっぱり目指すべき場所があるじゃないですか。陶芸だったら完成品に向かって、一個一個のパーツをどうやって作って、どうやってつなげていくか。野球も理想像に到達するために、何が必要か、何を選択すればそこにたどり着くのか考えます。そのあたりは一緒だと思いますね」。
昨年7月1日、沖縄セルラースタジアムで行われた
オリックス戦に先発。2年ぶりの凱旋登板となったが、7回1/3を3失点も勝利を飾れなかった。今年も沖縄でホーム開催の試合がある。そこで再びマウンドに立つのも一つの目標だ。自らの手で完成させた新たな“守り神”とともに、2026年は最高のシーズンにすることを誓う。

一つひとつの作業を慎重に、丁寧に進めていった。それは繊細なアンダースローのピッチングに相通ずるものがあった

與座作のシーサー。ここから窯で焼き上げて完成となる
――SHOP DATA―― ゆう工房 東京青山教室
【住所】東京都港区北青山1丁目3-3 三橋ビル5F
【定休日】月曜日
【営業時間】火・水/12:30〜20:30、木・金・土・日・祝/10:00〜17:30、5週目/10:00〜17:30
【座席数】カウンター15席
【アクセス】東京メトロ銀座線、東京メトロ半蔵門線、都営大江戸線「青山一丁目」1番出口より徒歩1分
【公式HP】https://yukobo.co.jp/aoyama.html PROFILE よざ・かいと●1995年9月15日生まれ。173cm80kg。右投右打。沖縄県出身。沖縄尚学高-岐阜経大-西武18[5]、19育、20。