第98回選抜高校野球大会(3月19日から13日間。準々決勝、準決勝翌日の休養日各1日を含む。雨天順延、阪神甲子園球場)の出場32校を選出する選抜選考委員会は1月30日、大阪市内で行われる。一般選考枠30校に加え、2001年(第73回大会)から導入された特別枠「21世紀枠」は2校が選出。昨年12月12日、日本高野連から全国9地区の推薦校を発表。候補校の今を追った。(学年表記は26年4月以降の新学年) 取材・文=岡本朋祐 写真=BBM 
部員45人。上尾高の野球にあこがれ、入学してくる。卒業後は教員を目指す生徒も多く、OBの30人以上が大学で野球を続けている
45人目の意識レベル
昨年12月12日。21世紀枠の関東・東京地区の選出は修学旅行中、那覇空港で知った。主将・森田佑樹(3年)は正直な思いを明かす。
「素直にうれしい気持ちもありましたが、もう一つの感情があったのも事実です。仮に21世紀枠で選出していただいた場合、いまの自分たちの力だと、甲子園で何もできずに終わってしまうと思いました。でも、ここで成長できる時間、チャンスをいただいた。昨秋の浦和学院高との県大会準決勝ではスコア(3対4)以上の実力の差を感じました。技術はもちろん、体つきが明らかに違う。冬場はウエート・トレーニングと体重増に取り組んできました。練習中の補食もその一つで、用意してくれるマネジャーには感謝しています」
部員45人。グラウンドには活気がある。同校OBで2010年に就任した高野和樹監督は「45人目の意識レベルが、上尾高校のレベルだと思っている」と明かす。ベンチ入り20人、記録員は控え部員の気持ちを背負って戦う。一方で、スタンドで応援する部員は当事者意識を持つ。双方の信頼関係なくしてチームワークは生まれない。練習は一糸乱れぬウォーキング、ランニングから始まる。ピリッとした空気で、技術練習では1球に全員が集中。一塁側ベンチのホワイトボードには「ゆるい野球をしない」「厳しい野球をする」とある。
5つの合言葉も、目に入ってくる。
・あいさつ
・礼儀
・学校生活
・整理整頓
・全力疾走
そして、学校生活の約束事である。
・毎日の授業をしっかり受ける
・教室も自らを成長させてくれるグラウンドである
高校生として当たり前のことを当たり前に継続する信念こそ、上尾高の最大の強さ。傑出した選手は不在。同校卒業生の片野飛鳥部長は「普通の子どもたちが最大限の力を発揮して、ここまでやれるのは意義があると思います。一生懸命やることの尊さを、彼らが示している」と明かす。
主将・森田は力を込めて言う。
「高野先生を中心に、グラウンドの雰囲気をつくり上げてくれていて、その指導に対して、自分たちも・・・
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