
栗山氏と言えば、日本中が熱狂した2023年の第5回WBCで日本を3大会ぶり3度目の世界一へと導いた功績が記憶に新しい。テスト入団から努力と情熱で、野球殿堂入りの栄誉を手にした[写真=高原由佳]
野球殿堂博物館は1月15日、2026年の殿堂入りを発表した。競技者表彰のエキスパート表彰から
栗山英樹氏が選ばれた。投票権を持つ委員(殿堂入り者、表彰委員会幹事、30年以上の野球報道経験者)の有効投票数(150票)の75%以上の得票が必要(今回は113票)で、栗山氏は76%に当たる114票を獲得した。候補者になった23年から4年目での殿堂入りとなった。なお、プレーヤー表彰は5年ぶり、特別表彰は15年ぶりに該当者なしに終わっている。
栗山氏は創価高、東京学芸大を経て84年ドラフト外で
ヤクルト入団。外野手として90年までプレーし、89年にゴールデン・グラブ賞を受賞した。引退後は野球評論家、キャスターのほか、さまざまな分野で勉強を重ねてきた。2012年から10年間、
日本ハムの監督として2度のリーグ優勝、16年には10年ぶり3度目の日本一を達成。13年に入団した
大谷翔平(現ドジャース)を投打二刀流として育成した。23年の第5回WBCでは3大会ぶり3度目の世界一に導いた。現在は日本ハムCBOのほか、
王貞治氏が代表を務める球心会の副代表として普及・振興に尽力している。
「まさかテスト生でプロ入りした自分が、長きにわたって野球ができるとは思っていませんでした。この賞は『これからも野球界のためにしっかり働きなさい』という、メッセージと受け止めています」と喜びを語った。ゲストスピーチを務めた
原辰徳氏(09年に第2回WBCで世界一)は「自ら努力され、その経験を監督として人心掌握力、栗山野球というものを確立させた。素晴らしい野球人であり、そして人格者である」と祝福。
栗山氏は「この感謝を忘れず、野球の伝道師となる若い人たちに対して自分のできることを精一杯、頑張っていきたいと思います」と背筋を伸ばした。栗山氏は前回のWBCのチーム解散時に「あなた方は野球界の伝道師なんです」と、選手たちに投げていた。「野球の伝道師」とは、04年のアテネ五輪で監督を務めた
長嶋茂雄さんが代表メンバーに伝えた言葉である。今回のWBCメンバーの顔ぶれを見て言及した。
「今年メジャーに挑戦する選手たちも、もう当たり前のように『WBC行きます』『日本野球のために尽くします』と。彼らのそういう行動、発言はすごく夢を感じます。長嶋さんがずっと言われていた、次の世代に野球を伝えなきゃいけないんだ『野球の伝道師たれ』という思いを、皆が感じながらやってくれている」
栗山氏は「僕が言ったってことではなくて、一流選手はみんな分かっていて、やり続けてくれている。感謝しかないし、うれしいこと」と付け加えた。決して自身は前に出ず、選手を立てる。この謙虚な姿勢こそ、栗山氏が選手、スタッフから慕われ、名指導者たる所以(ゆえん)である。
祝福コメント
王貞治[ソフトバンク会長] 「今後の野球の未来を考え、子どもたちが野球に触れる機会を増やし、野球をもっともっと盛り上げていくために栗山さんの力が必要です。次の世代に野球の魅力を伝えていく役割として、今後のさらなるご活躍を期待しています」
大谷翔平[ドジャース] 「栗山監督に指揮していただいたファイターズでの5年間、そして2023年のWBCでの思い出は僕の大切な財産になっています。栗山監督が残してきた数々のご功績とその人柄がこのような形で歴史に刻まれることをうれしく思います」