東京六大学野球連盟の慶大は昨秋まで3季連続5位。2023年秋以来の天皇杯奪還へのポイントは、ディフェンス面のテコ入れだ。今年1月から指導する元プロは一日中グラウンドに立ち、学生とともに歩んでいる。 学生に笑顔を要望
とにかく、グラウンドに活気がある。「薩摩おいどんリーグ」の試合会場・平和リース球場。学生主体で運営するのが1888年創部の慶應義塾体育会野球部の伝統だが、朝一からボルテージは最高潮である。雰囲気づくりに一役を買っているのが上田和明コーチ。41年ぶりに母校・慶大に戻ってきた63歳が率先して、ムードを高める。オープン戦前、相手校を圧倒する目的で始めたが、すっかりその雰囲気が浸透した。猛練習を苦しむのではなく、皆で力を合わせて乗り越え、課題を克服し、喜びを手にする。令和版の「エンジョイ・ベースボール」を体現している。
「野球はミスが付きものです。失敗をして、下を向く学生がいました。そこで『笑え、もっと笑え。俺の顔みたいに笑え』と。すると、表情が変わっていくんです。僕も現役時代、マイナスイメージが多くて……(苦笑)。絶対ダメだと思っていながらも、なかなか脱せられなかったわけです。失敗した、その次。ミスを続けていたら試合に出られなくなりますから、それは困りますが、失敗しても気持ちを切り替えてプレーできるかが大事。ゲームは続きますので、反省するのは試合後。そういうマインドを持った人間を育てるのが理想です」
今年2月、投手部門を担当する上田誠コーチ(慶応高前監督)が5年ぶりに母校・慶大に復帰。上田和明コーチの5学年先輩であるが、真摯(しんし)な姿勢の後輩をリスペクトしている。
「これだけ基本をやるんだ、と。プロでもここまで徹底するんだ、と。選手たちも、びっくりしているんじゃないですかね。上田コーチは常に学生目線。本当に頭が下がります」
同じ上田姓であり、学生からは上田誠コーチは「マック」、上田和明コーチは「ダッチ」と呼ばれている。「ある日のグループLINEを見たら・・・
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