人徳の深さを表すエピソードを挙げたら数知れないだろう。球界随一の人間性――。昨季限りで16年に及ぶ現役生活にピリオドを打った長野久義氏のことだ。2006年の大学・社会人ドラフトで日本ハムから4巡目で指名されたが“巨人愛”を貫き、入団を拒否。当時日本ハムスカウト部長だった山田正雄氏との間にも長野氏らしい秘話があった。 文=伊藤順一 写真=戸賀里真司、BBM 
3月14日、日本ハムとのオープン戦で長野氏の引退試合が行われた
20年前のドラフトで4位指名
昨季限りで現役を引退した巨人・長野久義氏(現編成本部参与)が3月14日、日本ハムとのオープン戦(東京ドーム)で引退試合に臨み、多くのファンに惜しまれながら現役生活に終止符を打った。試合後、長野氏は意外な人物の訪問を打ち明け、深い感謝の言葉を語った。その人物とは、この日の対戦球団・日本ハムで長年スカウト畑を歩きスカウト部長やゼネラルマネジャー(GM=2007〜14年)を歴任した山田正雄スカウト顧問のことだった。
長野氏は「2006年ドラフトで当時スカウト部長の山田さんがいらっしゃって。今日が最後だということで来てくださってね。本当に指名してもらって行かなかったんですけど、ずっと連絡とかもくれていましたし、本当に感謝しています。『16年間お疲れさま』『良く頑張った』という言葉を掛けてもらいました」と感謝の言葉を語っていた。
両者の関係性は今から20年前のドラフト会議にさかのぼる。日本ハムから4巡目指名を受けた当時日大4年の長野氏がそれを拒否、数度の交渉が行われたが不調に終わり、入団には至らなかった経緯があった。その当時の日本ハム側のスカウト部長が山田顧問だった。
同顧問に話を聞くと、まず06年11月の大学・社会人ドラフトでの指名の経緯についてこう回顧した。
「ウチのタイミングとしては現監督の新庄が現役引退を表明していたシーズンだった。彼に代わる外野手を獲らなければいけなかった。打撃は変則だったけど、バットにボールを当てるコンタクト率が高かった。それに足と肩もある。ケガさえなければ、将来的に必ずレギュラーになれるという見立てで彼を指名しました」
チームが44年ぶりの日本一に輝いたこの年・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン