球場内の安全を守る。5月11日、日本野球機構(NPB)は都内で行われた12球団実行委員会で「危険スイング」に関しての罰則規定を定め、12日から適用した。川上拓斗審判員の“事故”を繰り返さないため、早急なルール改正となった。 
オスナのすっぽ抜けたバットが川上球審の頭に直撃した[写真=大泉謙也]
重大事案に早急に対処
危険なスイングに罰則を与える発端となったのは4月16日の
ヤクルト対
DeNA戦(神宮)だ。8回、先頭で打席に入ったヤクルトのオスナがスイングした際に、手から離れたバットが川上拓斗球審の左側頭部を直撃。川上球審は救急車で病院に緊急搬送され、懸命な治療が行われているが現在も意識は回復していない。
重大事案と受け止めたNPBは「早急に審判員の安全確保に関する対策について関係各所と連携し、頭部の保護を含めた防護措置の在り方について検討を進める」とし、18日から球審のヘルメット着用を指示。23日に野球規則委員会で罰則規定を起案、5月11日には翌12日からの全公式戦での運用を決定と球場内の安全を守るために早急に動いた。
野球規則委員会が定義する「危険スイング」とは以下になる。
「打者がスイングした際、最後までバットを保持し続けることをせずスイングの途中でバットを投げ出して(すっぽ抜け含む)しまうことをいう。特にバット全体が他者に向かった場合、重大な危害を及ぼす恐れが生じることから、これを危険スイングとし、ペナルティを適用する」
他者とは攻撃側選手、守備側選手、審判員、ベースコーチ、ボールボーイ(ガール)、バットボーイ(ガール)のことを指し、ダッグアウト、カメラマン席、スタンドも含む。故意、過失を問わず、バットがすっぽ抜けた場合も危険スイングとなる。ただ、バントを試みた際にバットを離した場合は含まない。
「危険スイング」をしたがバットが他者に当たらなかった場合は警告、他者の体に直接当たった場合、ダッグアウト、カメラマン席、スタンドといったボールデッドの箇所にバットが入ったときは即退場。1試合で同じ打者が2度、「危険スイング」を行った場合も退場となる。打球とともにバットが野手に向かって飛んだときは打者がアウトになり、「危険スイング」として警告。バットが野手に当たった場合は退場となる。
なお、5月10日の
中日対
巨人戦(バンテ
リン)の9回、中日・
木下拓哉が空振りした際のフォロースルーのバットが巨人の捕手・
大城卓三のヘルメットを直撃したが、打者のフォロースルーなど片手でバットを握って捕手に当たったケースは適用外。今後、規則委員会で継続審議という形になる。
危険スイングに関する罰則規定
ペナルティ [1]危険スイングをしたが、バットが他者に当たらなかったとき→警告
[2]同一試合で同一打者が二度目の危険スイングをしたとき→退場
[3]バット全体が他者に向かい、避けきれずに身体に直接当たったとき。また、ダッグアウト・カメラマン席・スタンドといったボールデッドの箇所に入ったとき→即退場
運用ガイドライン [1]バントを試みたケースは含まない。
[2]打球と共にバット全体が野手に向かって飛んで、野球規則5.09(a)(8)【原注】が適用されたとき、打者アウトに加え“危険スイング”として警告が宣告される。避けることができず、野手に当たった場合は試合から除かれる。
[3]故意・過失を問わずバットを投げ出す(すっぽ抜け含む)ことは、非常に危険で安全配慮を著しく欠く行為である。打者の安全意識を徹底させるためにも、審判員は厳格に運用しなければならない。