
2024年1月1日から母校を指揮する関大・小田監督は、学生たちの手によって神宮の杜を舞った[写真=矢野寿明]
神宮の杜に、関大・小田洋一監督の声が響いた。
「山口さん、やりましたよ〜!」
スタンドで優勝を見届けた「山口さん」の目には、涙が浮かんでいた。
関大にとっては、54年ぶりの歓喜だった。前回優勝の1972年、関大のマウンドに立っていたのが、阪急で活躍、現在は関大のアドバイザリースタッフを務める
山口高志氏だ。同大学のレジェンドにして、伝説の超速球派投手だった山口氏が見守る中、「令和の関大」は最後までたくましかった。
6月14日に行われた決勝で、関大は5年ぶり5度目の優勝を狙う慶大と相まみえた。54年前の決勝でも相対した両大学は、グレーを基調としたユニフォームもそっくりだ。伝統校対決で先制したのは関大だった。4回表、主将・森内大奈(4年・福井工大福井高)の左前適時打で1点。5回表には四番・山本峻輔(3年・延岡学園高)の右中間スタンドへ飛び込むソロアーチで加点。「2点リードの中で試合を進められたこと」を一つの勝因に挙げる小田監督の言葉どおり、8回裏に失点も、投手陣が粘り強くバ
トンを渡した。
大会終盤の発熱で万全の状態ではなかった先発左腕・
米沢友翔(4年・金沢高)が5回を無失点に抑える。「マウンドに上がる以上はチームを勝利に導こうと思っていた。そういう投球ができて良かった。気合で投げました」。6回裏からの3イニングを1失点に抑えたのは190cm右腕の
百合澤飛(3年・開星高)だ。9回裏は「抑えてくれると信じていた」と小田監督から全幅の信頼を寄せられる中原海晴(4年・徳島商高)。無死一、二塁のピンチから圧巻の3者連続空振り三振で締めた。小田監督は言うのだ。
「関西大学は応援団を中心とした日本一の応援を背に戦っています。応援のおかげで、勝つことができました」
ネット裏で戦況を見続けた山口氏は「1試合1試合、着実に力をつけた。感無量」と後輩たちの成長に目を細めた。半世紀以上の空白を経て手にした3度目の優勝。陸の王者・慶應を下した関大は、最後まで「ワンチームの強さ」を失うことはなかった。(取材・文=佐々木亨)

優勝インタビューで関大・小田監督がネット裏に向かって「山口さん、やりましたよ〜!」と語りかけると、関大アドバイザリースタッフの山口高志氏[左端]は笑顔で応えた。中央は中尾吉計OB・OG会長、右は関大OBの岩田稔氏[元阪神]
決勝 6月14日 神宮球場 開始14時6分 終了16時32分

[関]〇米沢、百合澤、中原-笠井
[慶]●水野、広池、竹内、鈴木、熊ノ郷-吉開、加藤
▽本塁打 山本[関]
▽二塁打 宮本[関]、一宮[慶]
▽審判員 溝内[球]、福壽、松田、宮田[塁]、長谷川、福田[外]