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スタンフォード大・佐々木麟太郎が直面する3つの選択肢 ソフトバンクと面談、MLBドラフト後に最終判断へ

 

6月29日に一時帰国。羽田空港内で応じた会見には、38媒体68人が詰めかける注目度の高さであった[写真=菅原淳]


成長の跡を残した2年目


 アメリカから一時帰国した6月29日、羽田空港で取材に応じたスタンフォード大・佐々木麟太郎は、約1カ月後に迫った自身の選択肢について語っていた。

「代理人含めて、どうするかはこれから決めることになります。まだ不透明なところが多いですし、初めてのケースなので、予測ができないところが正直なところです。楽しみではあると思っているんですけど、もちろん不安かと言われたら、あります。プレッシャーもありますが、そこに関しての宿命、責任を感じています。まだどこが、自分の中で一番のオプションというのはない。3つの選択肢があることに感謝しながら決めていきたい」

 取材会場には38媒体68人が詰めかけた。昨年10月23日のドラフトでソフトバンク1位指名。佐々木はスタンフォード大で2年目のシーズンを終えた。昨年は52試合出場、打率.269、7本塁打、41打点に対して、今年は54試合出場、打率.262、16本塁打、47打点と成長の跡を残した。今年からMLBドラフトの対象選手で、現地時間6月23日からはアリゾナ州で行われた「ドラフト・コンバイン」に参加。ドラフト候補約300人による公開テストの場だった。佐々木はMLB関係者の前で、持ち味の長打力を披露した。

 MLBドラフトが現地時間の7月11、12日に控える中、同1日から2日間、福岡を訪れた。1日はソフトバンク一軍の本拠地であるみずほPayPayドームで約3時間の面談と施設見学をした。

7月1日、ソフトバンク・城島CBOがみずほPayPayドーム内を案内した[写真=球団提供]


 2日にはファームの拠点・タマスタ筑後の施設を見学し、ホークスの環境を確認した。

7月2日はタマスタ筑後の施設を見学し、ホークスの環境を確認した[写真=筒井剛史]


 佐々木は1日に、球団を通じてコメントを発表した。孫正義オーナーからのメッセージには、感激しきりだった。

「以前一度、お話しさせていただいたことがあるのですが、孫正義オーナーは、自分自身が生き方として一番尊敬している方だったので、まさかメッセージをいただけるとは。ねぎらいの言葉とぜひご縁があればというお話をいただきました。憧れていた皆さまからメッセージをいただけたことを心からうれしく思いましたし、自分自身は人とは違うシチュエーションなんですけど、それでもこうやって理解して今日ご準備いただいたこと、迎え入れていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです」

 王貞治会長からもメッセージがあった。

「『福岡で待っています』という話をいただきました。自分自身も含め誰もが憧れる選手であり、人間である王会長ですので大変光栄です」

 背番号「1」が提示され「そこに関しては大変、感極まっているところです。いろいろな話を聞かせていただいて、自分の中では深い一日になったと思いますし、とにかく光栄です」と目を輝かせた。

 今季のデータを分析した書類が渡った。

「大変驚きました。自分自身のデータをもうすでに次に向けて反映してご準備いただいているとは思っていなかったので、まず驚きでしたし、細かく明確に、原因だったり真因を突き詰めるようなデータの詳細をいただき、自分自身も課題に思っているところもデータと数値の部分も含めて一致しているところが多かったので、本当にソフトバンクホークスさんの球団としての最先端だったり、データの分析に関しても素晴らしい技術を持っているんだなと今日あらためて把握させていただきました」

7月1日の面談、施設見学後は、西武戦を観戦した[写真=湯浅芳昭]


MLBドラフト後に最終判断


 とはいえ、ホークス入団に心が完全に傾いたわけではない。慎重に言葉を選ぶ。

「自分が置かれているシチュエーションに関して尊重していただいていることに心から感謝を申し上げているのですが、現状、MLBのドラフトを見て最終的に判断させていただくことに変わりはないので。ただ、今日初めて福岡を訪問させていただいて、強い素晴らしい球団さんのいろいろなところを知ることができて、今日は自分の人生にとって深い一日になったんじゃないかと思います」

 ホークス入団後の動向についてである。

「特に今日はポスティングに関する話はしていないです。まず今日は球団を知るという面談の段階ですので、そういうことも含めて今後、アドバイザー(代理人)が交渉に入っていくと思いますけど、そういう話は本日はないという状況です」

 MLBドラフトは間近だ。指名順位によってNPBとの選択の基準はあるのか。

「現段階ではそこに関して明確な基準はないです。まだまだ不透明なところが多いですし、読み切れていないところも多いです。MLBに関してはこれから見えてくるものがまだ見えていない状況なので何とも言えるところではないですけど、MLBの自分への評価も踏まえて受け止めながら、責任を持って向き合って決めていかなければならないと思います」

 佐々木には、3つの選択肢がある。

【1】ソフトバンクに入団。NPBで実績を残した上でMLB入りを目指す。「休学制度」を利用して、現役引退後に復学

【2】MLBドラフト指名を受け「休学制度」でMLB入り。現役引退後に復学

【3】今年はNPB、MLB入りせず、在学して3年目シーズンに備える

 アメリカでは「休学制度」が定着している。競技を優先し、オフシーズンや引退後に学位を取得することが一般的に行われる。スタンフォード大はアスリート支援に寛容で、期間を設けず、履修することができる。過去にも同大学出身のMLB、NFL、NBAのスター選手が「挑戦→復学→卒業」の道を歩んできた。佐々木の場合、MLBに限らずNPBに進んだ場合も適用される。トップアスリートとして活躍する時間には期限があるが「学問はいつでもできる」という考えだ。

 5日にはJALスタジアム花巻で花巻市スポーツ協会が主催する故郷交流イベント「佐々木麟太郎と話そう。スポーツと勉強のこと。」に参加し、中学生を中心とした子どもたちにメッセージを送った。また、打撃練習などを披露し、ふれあいの場を持った。佐々木は正月以来の帰省でつかの間の時間を過ごした。「この1カ月以内には、次の道が見えてくる」。今後の進路に向けて、重要局面を迎えている。
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