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第97回都市対抗東京都二次予選

【社会人野球】セガサミー、最後の都市対抗予選で敗退 2026年限りで廃部、スタンドの思い届かず

 

2026年シーズン限りでの廃部を発表しているセガサミーが、都市対抗東京都二次予選で敗退した。3年ぶりの東京ドーム切符を目指し、全力プレーを展開も、夢は届かなかった。
取材・文・写真=佐々木亨

鷺宮製作所との第4代表決定トーナメント2回戦で敗退。試合後のスタンドへのあいさつは無念であふれた


5月14日に衝撃の発表


 6月13日の大田スタジアムには、その瞬間を見届けようとする多くの関係者と応援者で長蛇の列ができた。一塁側に陣取るセガサミーの「最後の都市対抗」が始まったのは14時13分。昼下がりの梅雨晴れが、スタンドを埋め尽くす人々の熱気を加速させていくようだった。

 思いよ、届け――。グラウンドにもスタンドにも、そんな特別な感情があった。2005年創部のセガサミー野球部を運営するセガサミーホールディングス株式会社(本社・東京都品川区)が、野球部の26年シーズン限りでの「廃部」を表明したのは5月14日のことだった。都市対抗東京都二次予選が始まる約1カ月前の突然の発表に、野球部の現場はもとより、社会人球界全体に衝撃と動揺が広がった。昨年まで20度の都市対抗予選を経て、14回の都市対抗本大会出場。東京ドームでは3度(18年、20年、21年)のベスト4と、強豪チームとしての歩みを進めてきただけに、社会人野球ファンにとっても「廃部」の現実は、受け入れ難いものだった。

 悔しさと喪失感。時間だけが無情に過ぎていく。「すぐに気持ちを切り替えるのは難しかった……」。セガサミーのスタッフと選手たちは口をそろえる。主将・北川智也(福井工大福井高)は言うのだ。

「野球を続けられるのか、会社に残れるのか。正直、(廃部を)聞かされたときは、野球どころではなかった。でも、『セガサミーでやれるのも今年が最後』と割り切り、だったら『悔いなくやろう』と思いました。今年で野球人生を終える人もいるので、『最後は勝って終わろう』と。時間はかかりましたけど、吹っ切れて前へ進むことができました」

後押しする特別な力


 時間は待ってくれない。野球部は前だけ見据えて、第97回都市対抗東京都二次予選を迎えた。

 勝ちたい、勝たなければいけない。6月13日の1回戦(NTT東日本戦)には、チームの意地と勝利への渇望があふれた。4点を追う7回表には、神懸かった集中力と攻撃力で一挙7点を奪って逆転する。タイブレークとなった10回表には、7年目の中川智裕(近大)が左翼スタンドへ満塁弾。再び同点とされて迎えた11回表には、同じく7年目の植田匡哉(大商大)が2点適時打を放って、またしても勝ち越す。得点時には、セガの代表作である『サクラ大戦』のテーマソング『檄! 帝国華撃団』が流れる。社会人球界全体でも長く親しまれたその楽曲が、この試合では何度も大田スタジアムに響き渡った。

NTT東日本との初戦で、大田スタジアムには大勢の観衆が詰めかけた


 だが、13対14のスコアが物語るように11回裏、4時間3分の激闘の末に最後はサヨナラで敗れた。セガサミー野球部の初代主将にして、監督就任1年目の佐藤俊和監督(専大)が初戦を振り返る。

「初戦を取るか取らないかは大事なこと。ただ、結果的に負けましたが、打線がつながって一挙7点を取った攻撃は良かった。タイブレークでの中川や植田の一打も……。20年に入社してコロナ禍も経験しながらやってきた7年目の選手たちが活躍したのは、感慨深いものがありました。最後に勝ち切れなかったのは、監督である僕の責任です」

 球場にあふれかえったセガサミーを後押しする声、そこに広がる光景は、佐藤監督にとっても特別な力になったという。

「これだけ多くの方々が全国から駆けつけてくれて……。長い試合時間となりましたが、最後までスタンドで見てくださって、本当に感謝しかありません。スタンドが後押ししてくれたおかげで、あの一挙7得点が生まれたと思います。応援してくださる方々のためにも、最終的には代表権を勝ち取れるように頑張っていきたい」

 試合後に「まだ終わっていない。ここからです」と前を見つめたのは、コーチ兼任で12年目選手の宮川和人(東洋大)だ。その言葉どおり、第3代表決定トーナメントに回ったチームは、東京ガスとの同2回戦でも激闘を繰り広げる。3回表に四番を務める2年目の加藤巧也(明大)や中川の適時二塁打などで一挙5点を奪って主導権を握ると、8回裏に逆転を許すが、9回表に長短打5本を集めて3点を奪い逆転。最後は初戦に続いてタイブレークに持ち込まれて延長10回裏、9対10のスコアでサヨナラ負けを喫するのだが、随所で「セガサミーらしさ」を見せた。

ベンチに掲げられたフラッグには関係者らのメッセージが書き込まれていた


予選4試合を糧に


 これまで何度となく逆境を跳ね返して都市対抗本大会出場を決めてきた歴史がある。東京都の予選では、不思議な力も加わり「最後は勝ち切るセガサミー」。そんなチームカラーを持っていた。今年の都市対抗予選でも、きっと……。

 だが、思いは届かなかった。第4代表決定トーナメントに回ったチームは、クラブチームであるREVENGE99との1回戦で勝利するも、続く2回戦(6月23日、対鷺宮製作所)で敗れて「最後の都市対抗」を終えた。佐藤監督は本大会出場を逃した現実を受け止め時折、曇り空に視線を送りながら言葉を振り絞った。

「2試合連続のタイブレークから始まって……。今年は『セガサミーの予選』という雰囲気はあったと思います。何とか勝ち残って第4、第5という代表決定戦につながっていくんだと信じていたんですが……。点を取り切る、最後は守り切るという野球ができなかった。チームを勝たせられなかったのは、監督である僕の責任です。応援してくださった方々に対して、そして最後に本大会に出場できなかったことに対して申し訳ない気持ちでいっぱいです」

 6月23日。大田スタジアムの三塁側には、悲しみが広がった。応援団を前に感謝の思いを語った主将である北川の目には光るものがあった。

「初戦、そして2戦目と勝ち切れなかったことが、のちに自分たちを苦しくした。あの2試合は、勝てる試合を落としてしまったなという思いです。ただ、投打がかみ合えば、どこが相手でも勝てると思う。今予選の4試合を無駄にせず、良いところは伸ばしながらやっていけば、おのずと勝ちは近づいてくると思っています」

 3年ぶり15回目となるはずの都市対抗本大会出場は逃した。それでも、残された戦いに向けてチームは走り続ける。「最後は何かしらを残して終われるように」。北川の言葉が、セガサミーにとって「最後の都市対抗」の舞台となった大田スタジアムの空に、静かに溶け込んだ。
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