打席では四番・DH。投げては152キロ右腕と中京大の投打の「顔」である。高校時代から二刀流の道を極め、来年のドラフト候補に挙がる逸材だ。 取材・文=佐々木亨 写真=菅原淳 
東海大九州キャンパスとの1回戦。第2打席で左前打を放った。理想的なスイングと打球であったという
無念の最終打席
寺下颯真は、置かれた立場を熟知している。覚悟と責任感があるからこそ、今年6月の全国の舞台はうれしさよりも、悔しさが上回った。
「2本のヒットが出たのは自身の成長だと思いますが、四番としてゲームのターニングポイントとなった二死満塁の場面で『決められなかったこと』に力のなさを感じました」
全日本大学選手権の1回戦だ。3年生ながら、打線の中軸を担う寺下は、まずは4回表の第2打席で左前打を放つ。東海大九州キャンパスの先発右腕である春崎公成(4年・真颯館高)が投じた変化球を逆らわずに左方向へ運んだ。
6回表の第3打席では一塁強襲安打を放った。鋭いスイングで2本目の安打を記録した。特に1本目の左前安打は左打席から逆方向への当たりで、寺下自身も納得の一打だった。
「1打席目(空振り三振)が良くなかったので、2打席目に修正できたことは良かった。打撃の状態がいいときの打球でした。4打席目も打撃自体は悪くなかったと思いますが、あそこでヒットにならないのが自身の力のなさ……」
1点を追う7回表だ。中京大は二死から3連続四球で、満塁の好機をつかむ。一打同点、あるいは逆転の可能性もある場面で、寺下は「相手投手は変化球が乱れていた。浮いたボールを狙おうと思った」。打球がセンターを襲う。だが、中堅手のスライディングキャッチでチャンスはついえた。結果的に7回表が最後の得点チャンスとなり、中京大は2対3のまま敗退した。試合後の寺下には、四番として本物の働きができなかったことへの悔いだけが残った。
「中心としてやらせてもらっている選手として、まだ足りないのかなあと思います」
投げては、最速152キロを誇る右腕だ。今春の愛知大学リーグでは防御率1.50で4勝をマーク。最多勝に輝いた。全日本大学選手権での登板機会こそなかったが、寺下は投打二刀流で大学でも自信の立ち位置を築いてきた稀有(けう)な選手である。
「両方をやらせてもらっている、そして実際にやれているのは自分の売りだと思っています」
二刀流に挑むことで・・・
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