来日から10年、いつもと変わらず、圧倒的なパフォーマンスを披露した。9月10日、東京ドームでの
中日戦。巨人が8回に2点を勝ち越して9回を迎え、自らの名前が
コールされると、小走りにマウンドへ駆けていく。相手は「できれば避けたい」と願っていた古巣。それでも「何が起きるか脚本は書いていない。彼らを相手に達成する運命だった」と受け入れ、目の前の“仕事”に集中すると、わずか5球で3人の打者を斬って取り、グラブを大きくたたいて天を見上げた。R.マルティネスが通算250セーブの大台に到達した瞬間だった。
NPB史上6人目、外国人投手としては初の快挙を、
佐々木主浩(元横浜ほか)の435試合を更新する史上最速の411試合目で成し遂げた。名球会入りの条件を満たした外国人選手は
アレックス・ラミレス(元
ヤクルトほか)以来2人目だ。
お立ち台で涙を浮かべながら言葉を詰まらせたのは、古巣の中日について問われたときだ。「ドラゴンズの仲間たちと過ごした時間が思い浮かんだ」と振り返る。20歳で来日して育成契約を結び、「学校と言っていいくらい、いろいろなことを学ばせてもらった。ドラゴンズなしではたどり着けなかった記録。感謝している」と思いを口にした。
史上最速というだけではない。実働9年、411試合登板で通算防御率は1.59、WHIPは驚異の0.86。剛球に加え、圧倒的な精度こそが真骨頂。「日々の練習のたゆまない継続と、大きなケガなくプレーを続けることができた」。それこそが球界最強クローザーに上り詰めることができた理由だ。
もちろん大記録も通過点に過ぎない。大恩ある古巣をあとにして巨人への移籍を決断したのは、リーグの頂点に立つ喜びを味わうため。「ファンが望んでいる優勝が次の一番の目標になる」。
これからも背番号92が9回のマウンドに君臨する。
写真=大賀章好