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アマチュア野球CLOSE-UP【社会人野球編】

【都市対抗2026/2回戦敗退チームREPORT】日本新薬に受け継がれる「泥臭く、粘り強く」の精神 4年ぶりの大舞台で残した軌跡

 

東京ドームで繰り広げられたトーナメントの一発勝負。1回戦から決勝まで、全31試合が展開され、今年も名勝負の連続であった。黒獅子旗を目指し、社会人野球にかける一途な思い。
取材・文=佐々木亨 写真=高野徹

日本新薬は4年ぶりの初戦突破。大勢の観衆が訪れた応援席を喜ばせた


3点ビハインドから逆転


 日本新薬(京都市)にとっては、4年ぶりの東京ドームだった。都市対抗の近畿二次予選では、代表決定戦での3連敗を乗り越えて第4代表の座を射止めた。38回目の出場だった2022年を最後に久しく遠ざかっていた晴れの舞台を迎え、チームの士気は否応なく高まっていた。

 かつての輝きがよみがえる。都市対抗での日本新薬は、14年から3年連続でベスト8。20年の第91回大会では、1回戦でTDK(にかほ市)を、2回戦で三菱重工広島(広島市)を下し、準々決勝ではHonda熊本(大津町)を1点差で退けて、ベスト4に上り詰めた過去がある。その再来とばかりに、日本製鉄鹿島(鹿嶋市)との1回戦は勢いに乗った。

 泥臭く、粘り強く――。日本新薬に受け継がれるチームカラーを体現したのは、3点ビハインドの5回表だ。パナソニックからの補強選手である代打の坂下翔馬(近大)、根路銘太希(九州共立大)の連打を足掛かりに一死二、三塁と攻め立てると、二番に座る池田康晟(龍谷大)の右中間を破る適時二塁打で2点。さらに武田登生(中央学院大)が左翼線への安打で続いて一気に同点に追いつく。

「3点を追う展開にも、選手たちは慌てることがなかった」

 チームに宿る本物の力をベンチで感じ取っていたのは、就任1年目の松下和行監督(東亜大)だ。

指揮官として初勝利


 試合終盤を迎えると、この夏の勢いがそのまま成果として現れる。7回表は、根路銘の右越え二塁打を起点に攻め、武田のセーフティスクイズで1点。なおも、走者2人を置いた場面では、四番に座る橋本和樹(立命大)が左翼スタンド中段に飛び込む3ラン。このイニングだけで4点を加え、日本製鉄鹿島にプレッシャーをかけた。9回表には、13年目を迎えた大畑建人(大体大)が代打で2ランを放ち、三塁側スタンドのボルテージは最高潮となった。

「大畑はベテランになりましたが、チームで一番練習していますし、ベンチでもチームのためにやっている。それだけにホームランはうれしいですね」

 松下監督は目尻を下げて、長らく日本新薬を支える“仕事人”を称えた。投げては、先発マウンドを担ったルーキーの宮田率生(帝京大)をはじめ、4投手で相手打線の勢いを止め、10対4で4年ぶりの初戦突破を果たした。松下監督にとっては、指揮官として初めて味わう東京ドームでの勝利だった。

「私が経験してきた中で一番多い応援だったんじゃないですか。自分たちだけでやっているわけではないことを、改めて感じました。たまたま私は監督1年目で勝たせてもらいましたけど、今日の1勝は、昨年までの3年間、(都市対抗に)出られなかった人たちの思いもつながっていると思います。現役時代とは違う喜びがあります。本当にうれしいです」

 2回戦では同地区の大阪ガス(大阪市)と対戦して、2点差で敗れた(2対4)。それでも、4年ぶりに戻った東京ドームで描いた軌跡は、日本新薬の復活を強烈に印象づけるものだった。
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