週刊ベースボールONLINE

アマチュア野球CLOSE-UP【社会人野球編】

【第51回社会人野球日本選手権】今季限りで休部するパナソニックが示す価値観 地元・大阪で飾る有終の美

 

今季からパナソニックを率いる井上監督。近畿地区予選を突破すると、選手により胴上げされた


チームに悲壮感はなし


 社会人日本選手権では2度の優勝を誇り、出場43回は全国最多。1950年創部のパナソニックは長い歴史と実績を持つ。しかし、近年の成績不振もあり昨年12月8日、2026年シーズン限りでの休部が発表された。

 ラストシーズンの都市対抗は近畿地区二次予選敗退。日本選手権近畿地区最終予選は、負けた瞬間に活動が終わる、あとのない戦いだった。会社から応援に駆けつけた中村彰さんは休部の知らせに「ショックでしたね。やっぱり伝統があるので、すごくショックでした。都市対抗に出られなかったので最後、京セラドームでその勇姿を見せてほしいな、と。願っていました」。ただチームに悲壮感は漂っていなかった。クローザーを務める定本拓真(関大)は休部を知らされたときの受け止めをこう語る。

「最近はあまり結果が出ていなかったので正直、それもあるかなという気持ちもあったので、ある程度、心構えはできていました。もう今年はやるだけという気持ちで、本当に後ろを見たら後はないです。前だけどんどん見て、打たれても前、負けても前という気持ちで今年は戦っています」。10月22日のドラフト会議を控える151キロ右腕エース・柿本晟弥(東洋大)の活躍もあり、無傷の3連勝で予選を突破。3大会ぶり44回目の本戦出場を決めた。
※10月22日、柿本晟弥はドラフト会議にて西武から2位指名を受けた

151キロ右腕・柿本はNPBスカウト注目のエースである。10月22日のドラフト会議で指名を目指している


 日本新薬との代表決定戦では柿本が6回途中1失点で試合をつくると、パナソニック投手陣を支えてきた與座健人(関西国際大)、榎本亮(佛教大)が救援し、最後は定本が150キロ超のストレート連発で締めている。

「久しぶりの京セラドーム出場なので、最高という気持ちと、応援してくださっている社員の思いも背負っていたので、期待に応えたいという気持ちがありました」

 2試合に先発し、13回2/3を投げて2失点に抑えた柿本は言う。

「本社が大阪で、従業員の方もたくさん来てくださると思うので、そこで僕たちの野球を見せたいです」

企業、市行政を背負う姿


 終わりを告げられた中でプレーする異例のシーズン。井上貴晴監督(青学大)は、ここまでを振り返る。

「特別なシーズンが始まって、都市対抗予選で悔しい思いをしたんですけど、日本選手権予選で今までにないぐらい従業員の方、ファンの方が応援してくださって、そういったところの期待も背負いながら戦うことが大きな喜びでもありますし、次は京セラドームで本当に従業員の皆さまにパナソニックの力、戦う姿を見せていきたいなと思います。パナソニックだけではなくて、社会人野球が企業を背負って、市行政を背負って戦う姿が本当にいいものだというものを、パナソニックが示すチャンスです。パナソニックだけではなくて、社会人野球の価値、良さというものを京セラドームで発揮できたらと思います」

 近畿地区予選では応援団の参加が認められず、有志がスタンドから声援を送った。京セラドーム大阪には大応援団が駆けつけるはず。社会人日本選手権ではチーム、会社とすべての力を結集させ有終の美を飾る。

取材・文=小中翔太 写真=太田裕史
HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング