今季、楽天からロッテに移籍し、開幕一軍入り、接戦の終盤で出番を得ています。力強い直球とキレのあるスライダーのコンビネーションが特徴の右腕で、昨季は自己最多の13試合に登板しましたが、ここまで目立った実績を残しているわけではなく、新天地での挑戦はチャンスです。 
【チェックポイント】[3]ヒザの高さ[4]グラブからボールを出す×

【チェックポイント】[9]グラブの高さ[10]肩、ヒジ、ボールの位置関係×

【チェックポイント】[11]軸足の伸び◎
【ポイント】ブラインド
プロ入り後、リリーフ一筋できていますから、セットポジションからのスタートは理にかなっていると言えます。ただ、写真3〜写真5のように、せっかくグラブを高く上げているのに、左足は上がってヘソの高さで、これでは下半身のパワーを十分に使い切れないのではないでしょうか。立ったときのバランスを重視する考えがあるのかもしれませんが、セットでのスタートなのですから、軸も安定していて、いくらでもヒザを高く上げられると思うのですが……。グラブを高く上げることでヒザの通り道を作っているのかと思いましたが、違うようですね。
また、写真4で1度グラブからボールを持った右手を出すのはやめたほうがいいのではないでしょうか。グラブがブラインドになってバッターからは見えないかもしれませんが、少しでも見えていれば、握りの変化を見逃さないのがプロのバッターです。挟んでいたり、フォーシームとは異なる握りなどの場合は気付かれてしまう可能性は否定できません。ボールが見えてしまう可能性で言うと、テークバックを取る写真8、写真9の辺りもそうでしょう。手首が掌屈しているせいで背中側にヒジが入り過ぎてしまい、バッターから見ると右手が背中側から見えてしまっている恐れがあります。特に左バッターでは注意が必要で、右腕を早くトップに上げていくことを考えても、ハンズセパレーションをした後は、手首は背屈すべきだと思います。
右腕の上がりがやや遅く、写真10で左足がランディング(着地)したときようやく右腕が写真の位置です。しかも、肩、ヒジ、手の関係は写真10時点で90度であることが望ましいのですが、小野選手の場合、開き過ぎ(というよりも、右腕の上がりが間に合っていない状態)で、肩、ヒジへの負担が怖いですね。右腕が早く、高く上がらないのは、写真6以降で軸の傾きが不十分であることも理由の1つに考えられます。右腕とは逆の左手の使い方が重要で、写真9のように最大に上げても肩のラインよりも下では、反動で右腕を跳ね上げることは難しいですね。
下半身の使い方は良いと思います。写真10のステップ幅、股関節の角度は十分で、その後、写真11〜写真13と軸足(右足)を伸ばしたまま、前でリリースを迎えることができています。
やはり、気になるのは上半身の使い方。少し意識して取り組むだけで、変化が生まれるのではないでしょうか。(フォーム解説=
藪恵壹)
PROFILE 小野郁/おの・ふみや●1996年10月23日生まれ。福岡県出身。175cm78kg。右投右打。西日本短大付高から2015年ドラフト2位で楽天入団。1年目からリリーフとして一軍マウンドを踏み、昨季は13試合に登板。オフにロッテから楽天にFA移籍した
鈴木大地の人的補償でロッテへ移籍。20年は開幕一軍入り。20年の成績は3試合登板0勝1敗1H0S0奪三振、防御率0.00(6月24日時点)