40歳となった今年も、阪神の四番として猛虎打線をけん引している福留孝介。彼の場合、打撃に目が行きがちだが、外野で5度のゴールデン・グラブを受賞している守備の名手でもある。彼の守備力をさらに高めているのが、多くのこだわりが詰まったグラブだ。 取材・文=椎屋博幸、写真=毛受亮介 グラブの色はブラック。しかし、バックサイドの革は限りなくネイビー色だ。「このグラブは阪神に入ってから使用し続け、今年で5年目になるかな」と愛用品を叩きながら答える福留孝介。毎年、メーカーからは同じ型のグラブが手元に届くが、ここ4年間、試合用として採用されるモノが出来上がっていない。
「元内野手なので、ほかの外野手がやっている小指と薬指を同一の場所に入れるような使い方をすると違和感があって、難しい。僕自身はどうしても、しっかり手を広げて素手でキャッチするように捕りたいんです」
2002年、本格的に外野へコンバートとなり、グラブも変更。だが、もともとのグラブがほかの内野手用よりも少し大きかったこともあり、外野グラブの長さなどは気にならなかった。現在も内野を守っていたころの型を残しつつ、少しだけ各指のパーツ部分を長くしただけだ。
毎回メーカーから出来上がったばかりの状態のグラブが届くと、はめてフィーリングを確かめ、使えそうだなと感じたモノを選び、ボールや棒を使って叩きながら軟らかくしていく。「しっかりと捕球面だけを叩き、自分の握力で締めたり開いたりを繰り返す。それによってグラブが自分の手と同じ形と動きに仕上がっていくんです」。だが、思いどおりの動きをしてくれるグラブになるものはそうはないという。現在のグラブは、福留いわく「今一番信用度が高いモノ」と表現する。

もともとはブラックだったグラブ。オイルは塗らず、汚れを落とすくらいで使いこなしてきた。日差しなどで色が焼け約5年が経過し、ネイビーのような味のある色になっている
「グラブの革と革の間にグリース(潤滑油)が塗られているんだけど、叩いていく中で、それがジワリと捕球面のポケットにしみ出していい感じに革が伸び自分の型に仕上がっていくんです。オイルは一切塗りません。もちろん、バックサイドもそう。オイルはヒモに使用するくらい。だから5年も使うと、バックサイドの色がこんな感じになるんです」。革の素材も手になじみやすいしっとりとしたタッチ感のステア革を使用(使用メーカー、ミズノ社ではプレキシーエリートレザーという名称革)。
福留の感覚として、手を開いた形で飛球やライナーを捕りたい。そこで素手でボールを捕球するときには指と指の間にスキ間ができるはず。グラブにもこのスキ間を求めている。
「僕のグラブの一番の特徴はこのグラブとグラブの間のスキ間にあるんじゃないかな。ほかの外野手のグラブよりも大きく開くと思います」
「福留の手=グラブ」が究極の状態だと言い切る。そのグラブと一緒に400試合以上、守備をともにし、信頼度は増している。新グラブもそろそろ出来上がりつつあるというが、その交代の日はまだ先になりそうな気配だ。
PROFILE ふくどめ・こうすけ●1977年4月26日生まれ。182cm93kg。右投左打。鹿児島県出身/PL学園高-日本生命-
中日99-カブス08-インディアンス11途-ホワイトソックス12-
ヤンキース・マイナー12途-阪神13〜=14年