ただいま英才教育実施中。
中日の七番打者は
高橋周平だ。8月29日時点での打率.189は物足りない。だが、3本塁打の弾道と飛距離は、他球団と競合して勝ち取った才能の証明書だった。
今季1号は8月1日の
阪神戦(甲子園)。左腕・加藤から放った逆転のグランドスラムだった。低空のライナーでバックスクリーンに打ち込む一撃に、熱狂的な甲子園のスタンドが水を打ったように静まり返った。2号は18日の
巨人戦(東京ドーム)。菅野から右翼席上段まで運んだ。プロ通算4本目にして、初めての右方向。逆方向にも打てる強みとともに、フルスイングすれば日本人でもトップクラスの強い打球を打てると実証した。そして3号は28日の
ヤクルト戦(神宮)。クラーク、小田とともに中日17年ぶりとなる3者連続本塁打をやってのけた。
「いや、まだまだです。一軍クラスの投手の球に、ついていけてないことが多いですから。守備でも走塁でもしっかりやろうと思っているんですが、足を引っ張ってしまうことがあるので……」
打率は低い、ミスもある。だが、大事に育てて将来は中軸を任せたい。そう思わせるだけの逸材であることは、球団全体の一致した意見だ。加えて三塁のレギュラーだったルナが故障離脱し、帰国した。もはや高橋周を固定起用していくのに障害はない。
「今がチャンス。それは周平も分かっています。ここでつかまなきゃ、いつつかむの? あいつも必死ですが、こっちも必死ですよ」
名古屋ではもちろん、遠征先でも早出練習を行っている。それを指導しているのが井上打撃コーチだ。大輪の花よ、今こそ開け――。低迷竜の希望の星だ。