「3年連続」は許さない。一新された首脳陣からはそう告げられているが、
浅尾拓也にとっても心得ていることだ。
「この2年間、ドラゴンズが優勝できなかった責任は僕にもあります。そう思っています。シーズンを通して戦力にはなれませんでしたからね」
2012年が29試合、昨季が34試合。どちらも防御率が1点台(1.50と1.47)なのはさすがだが、右肩痛に悩まされ続け、二軍にいる期間が長かった。それまでは右肩上がりで年俸は上昇し、リーグMVPに輝いた11年オフには2億7500万円の契約を勝ち取った。が、この2年間で1億6500万円にまで落ち込んでしまった(金額は推定)。
完全復活への意欲は、浅尾の行動に表れている。
山本昌や岩瀬が長年トレーニングしている鳥取市の「ワールドウィング」を初めて訪れた。この1月は鹿児島で1次自主トレを行い、まずは走り込み。それから恒例となっているグアムでの2次自主トレ。こちらは肩作りが目的だ。グアムには飲食店を営む知人に同行してもらい、練習中の昼食や夕食を作ってもらう。栄養を考え、野球に集中しようという狙いだ。
「球団がやってくれるキャンプと違って、自分たちで全部やらなきゃいけない自主トレだと、ファーストフードとかに頼ってしまいますからね」
すべてを野球に捧げる覚悟。首脳陣からは今季も投げられないなら先発転向を示唆されている。全力で腕を振る「浅尾スタイル」を取り戻せれば……。浅尾本来の能力を考えれば、ここ2年の年俸ダウン額など簡単に取り戻せるのは間違いない。