すべての歯車がかみ合っていれば間違いなく月間MVPの有力候補だったはずだ。竜の新外国人、
ラウル・バルデスは超優良助っ投。中4日のフル回転もさることながら、気合も根性もある。それなのに勝ち星に恵まれないのがもどかしい。
「十分やってくれている。早く勝ちをつけたいんだけどね」
来日初黒星となった4月19日の
広島戦(マツダ広島)での谷繁監督兼選手の言葉は偽らざる本音だろう。その試合では中4日で6回2失点。しかも前回14日の
阪神戦(ナゴヤドーム)では8回2失点(自責1)で137球も投げていた。日本人投手では考えられない登板間隔でも期待を裏切らない。
開幕2戦目の阪神戦(3月28日、京セラドーム)から中4日、中5日、中5日ときて中4日。それでいて19日の広島戦までの計5試合は6回以上で自責3以下のクオリティスタート率100パーセントだ。開幕当初は右ヒジに不安を抱える吉見を中10日にしているチーム方針のあおりを受けているが、本人は「オレは中3日でも中2日でもいけるんだ」とケロリ。
森ヘッドコーチがドミニカ共和国に渡り、ウインター・リーグを視察。そこで好投していた左腕に目が留まったが、何よりも注目したのが過去の経歴。キューバ出身のバルデスは5度の亡命に失敗すると、6度目でようやく成功。2003年からメジャーを目指して第2の人生を歩み始めた。30代後半とはいえ、根性は折り紙付きなのだ。
「体調的には何の問題もない。とにかく自信を持って投げるだけだよ」と話すバルデスは大のバナナ好き。1日5、6本は食べるという鉄腕がこのまま1年間を通して活躍できれば大補強だったと言える。