起用の幅が広がって巻き返しをはかる。
原口文仁が一塁でなくマスクをかぶったのは、5月10日の
巨人戦(東京ドーム)だった。代打で出場して、そのまま捕手のポジションに着いた。
約2カ月ぶりに本職に戻った原口は「ちょっと驚きました」と振り返った。金本監督も「こういうこともある」と、今後もゲーム展開によっては捕手起用もあることを示唆した。
キャンプ最終日に捕手から一塁転向を告げられた男。右肩に不安を残すと同時に、昨季金本監督が「一番頼れる打者」と称賛した勝負強いバッティングを生かすための決断だ。
ただ、実績2年目の今シーズンは、試合を重ねるごとに調子を崩していった。開幕直後から「五番・一塁」で結果を示したが、そのうち下降線を描いた。
4月15日の
広島戦(甲子園)で3打数無安打に終わると、ついにそれまでキープした打率3割台を切った。4月後半からスタメンから外れるケースが目立ってカベにぶつかった。
しかし、原口は「自分には結果が求められているので」と練習では黙々と打ち込みに励むなど、本来の打撃を取り戻すために日々努力を続ける。
華々しく一軍デビューした1年前の5月には月間MVP賞を受賞した。ここから夏場となり暑さには強いタイプ。捕手でも、一塁でも、原口は「切り替えてやっていきます」と本調子を取り戻して期待に応えるつもりだ。