
新人ながら大車輪の活躍も、8月に入りカベにぶつかる黒木
夢の新人王獲得へ、最大の難所を迎えている。
今季、立正大からドラフト2位で入団した
黒木優太は、開幕から「8回の男」として勝ちパターンを守り続けてきた。ルーキーとは思えぬ強心臓と体力で、瞬く間にチームに欠かせない投手に成長。安定感と貢献度から考えても、新人王の候補にふさわしい成績を残しているが、8月に入ってプロの洗礼を浴びている。
7月下旬に抑えの
平野佳寿が二軍に降格。背番号54が代役守護神を任されることに。しかし、7月30日の
楽天戦(京セラドーム)から2戦続けて抑えに失敗。痛恨の失点に「開幕当初に比べて気迫がなくなってきている。ここに投げちゃいけないとかが先行して、打たれたらどうしようという思いが出てきた」と不安を吐露した。
球速は出ている。だが、これまでに比べて三振も奪えなくなってきた。打たれてはいけない、先発に勝ちをつけなくては――。プロで経験を積んだからこそのさまざまな思いが、右腕に重くのしかかっていた。
2戦連続で抑えに失敗した次の登板となった8月3日の
ソフトバンク戦(京セラドーム)では、首脳陣の配慮もありビハインドの8回に登板して無失点に。
平井正史投手コーチは「まだ本来の姿ではない」とさらなる期待を込めたが「どこかで小さくなっていた。反省は生かせた」と黒木。エース・
金子千尋からのアドバイスもあり、直球で強気にインコースを突く、自身の持ち味を改めて思い出したようだった。
8月12日に
福良淳一監督は疲労考慮して登録を抹消した。最短の“10日間”の調整とみられるだけに、完全復活までもう少し。カベを乗り越えた先には、必ず成長が待っている。
写真=佐藤真一