
ファームでは8月31日時点で打率.249、9本塁打とまずまずの数字を残している
21打数で2安打1打点。本塁打はなしで、打率は.095。数字は苦戦を物語るが、ドラフト9位ルーキーの
佐野恵太にとっては一軍のレベルを肌で知ることができたことは財産になっているはずだ。
今はじっくり牙を研ぎ澄ましている。「いつでも上がれるように調子を上げておきます」。額に汗をにじませながら、さわやかな笑みを浮かべた。
春季キャンプとオープン戦でアピールを続けて開幕一軍をつかんだ。育成を除けばリーグ最下位での指名でプロ入りした佐野にとって“下克上”のストーリーのお膳立てとしては十分だったが、思うような結果は残せなかった。
6月12日に登録抹消されてから後半戦に入ってまだ一軍へは昇格できていない。ただ、佐野には自身の中に“指標”ができたことが大きかったという。6月8日の交流戦の
楽天戦(Koboパーク宮城)。相手は連続2ケタ奪三振試合を続けていた則本だった。「八番・左翼」で先発し2三振を含む4打数無安打。150キロ台後半の直球に鋭く落ちるフォークボール。「4打席、則本投手と対戦できたことは大きかったです。一流の投手だったので、こういう投手を打たないといけないとあらためて思いました」。球界トップの投手を体感できたのは大きかった。
これまでの野球人生とは違い、一軍に上がってもまずはベンチからのスタートが濃厚だ。「1球で仕留められる力を付けたい」。ここまで代打成績が振るわないチームの起爆剤になれるか。
写真=BBM