
自身の武器の一つである俊足を生かしたい
チームトップクラスの俊足で、ベンチに選択肢を与えている。
田中和基は、わずか45試合の出場でチーム2位の6盗塁をマーク。スイッチヒッターながら長打力を秘めたバッティング、強肩を生かした守備力にも魅力はあるが、代走を含め、走力で最も多くの見せ場をつくっている。
8月4日の
ロッテ戦(Koboパーク宮城)だった。
楽天・岸、ロッテ・酒居の投げ合いで1対2とリードを許した8回、二死から代打・枡田が出塁すると、代走として登場。3度けん制されながらもスタートを切り、二塁を陥れた。「あれが、足ではここまでのベストプレー。3回けん制を受けてスタートできた。集中できていた」と語った。
大きな失敗も経験した。9月3日の
ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)、両軍無得点で迎えた7回、一死から
アマダーが四球を選ぶと代走に起用された。果敢に二盗を狙ったがプロ初の盗塁失敗。「(投手・和田の)3度のけん制でポイントを見つけてスタートしたけど、そこでは遅かった」。結果的にスタートが遅れたことを映像でも確認。今後に生かしていく。
森山外野守備走塁コーチは「スタートを切る勇気が一番の長所。スピードがあってスライディングも強い。伸びしろも十分」と期待する一方で、「怖いもの知らず。まだ状況が把握できてない」と課題も挙げた。足の運び、リード、体重のかけ方と技術面での改善の余地も多い。プロでの経験を積み、真のスペシャリストへ成長する。
写真=湯浅芳昭