
終盤になってようやく本来の力を発揮し始めた中村
チームが開幕から低迷する責任を、
中村奨吾は感じていた。開幕2試合目となった4月1日の
ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)。0対1の4回無死満塁から遊撃へのほぼ正面のゴロを二塁へ悪送球。併殺コースが一転、2人の走者が生還してゲームの主導権は完全に相手のものとなった。結局、開幕カードで3連敗とスタートダッシュに失敗。チームの今季初勝利は5戦目までずれ込んだ。
「僕のあのミスから、チームの流れも悪くしてしまった」と悔しさを口にし、責任を背負った。昨季は二塁で32試合、三塁で50試合に先発。経験の浅い遊撃でのミスだったが、バットにも影響し、安打が出ないまま4月6日に最初の出場選手登録抹消。5月に昇格するも、再びすぐに二軍落ちと中村自身も波に乗り損ねた。ようやく存在感を示し始めたのは6月中旬に再昇格を果たしてからだった。
7月は20試合に出場して打率.317。8月は25試合で打率.276、3本塁打をマークした。9月に入っても打率.289、3本塁打とバッティングの好調をキープしながら、さらに8つの盗塁も積み重ねた。本来、積極的な走塁も中村の持ち味。プロ3年目の今季から「ミスター・
ロッテ」の象徴とも言える背番号「8」を受け継いだ選手としては遅過ぎるものの、ようやくその才能を開花させつつある。
守備面での安定感はまだ発展途上だが、「しっかり取り組んでいかないといけない」。攻守ともに一球の重みを胸に刻み、向上心を持って取り組んでいる。
写真=BBM