新人ながら今季、開幕から先発ローテを守り抜いた山岡。スライダーの精度を高め、2年目はさらなる飛躍を期す
「ギュイン」。捕手のミットに収まったボールからはこんな音が聞こえてきそうだ。斜めに大きく変化し、打者のバットが空を切る。
これが
山岡泰輔の最大の武器であるスライダーの特徴だ。質の高いストレートに、この魔球やチェンジアップを交えて打者を打ち取っていくスタイルで1年間先発ローテを守り抜いた。
そんな伝家の宝刀を習得したのは瀬戸内高に入学してから。先輩が投げていたのを見て教えを請い、時間をかけてモノにした。小学生のころはバドミントンをしており、当時から柔軟運動を欠かさず行ってきた山岡。そこで身につけた肩の柔らかさが、力強い腕の振りを生み出した。それだけに「うまく腕が抜けずに体に当たってしまうから、ほかの人は投げられないと思う。僕は柔軟性があったから、うまく抜けた。投げ方を聞かれることもあるけど、人には教えられない」と話すほどだ。
ダルビッシュ有も絶賛した唯一無二の球。生命線でもあるがゆえ、今季はそのスライダーでストライクが取れなかった試合は、苦しい展開になることも少なくはなかった。来季に向けて精度を高めることが課題になりそうだ。
今季は24試合に投げ、8勝11敗、防御率3.74で規定投球回にも到達したが、目標に掲げていた150イニングにはあと一歩届かず。「悔しい終わり方をしたほうが来季に入っていきやすい。来年は確実に150(イニング)を超えるような練習をしていきたい」。飛躍の2年目へ、早くも燃えている。
写真=石井愛子