
期待に応えられなかった1年目の田中。このままでは終われない
間もなく「ドラフト1位ルーキー」の呼称が消えようかという10月10日、
田中正義は宮崎にいた。みやざきフェ
ニックス・リーグの
楽天戦(ひむか)。先発としてそのマウンドに上がった。
ストレートの最速は150キロをマーク。結果は2回1/3で被安打6、4失点での降板だった。3イニングとも先頭打者に安打を許し、暴投も絡んで苦しいマウンドに。「これが現状です。まだ腕が振れていない」。53球はプロ入り後の実戦で最多だった。
昨秋のドラフトで5球団競合の末、工藤監督がクジを引き当て、創価大からドラフト1位で鳴り物入りの入団。2月の宮崎春季キャンプでは初日にブルペン入りし、実戦段階に入れば最速152キロを披露した。ただ、制球やフィールディングの課題を露呈し、右肩の不調もあってペースダウン。ほどなくリハビリ組に合流し、ノースローでの調整が始まった。
投球を再開できたのは5月。6月末、初めての対外試合の舞台は三軍だった。その後は右肩の張りに悩まされ、再び実戦から遠ざかった。次の実戦は8月末。そこからまた投球練習に専念し、公式戦デビューは9月末の二軍戦だった。
即戦力右腕、新人王候補の呼び声からすれば、大きな遠回りには映る。ただ、本人は前向きだ。「この1年が遠回りじゃなかったと思えるような取り組みをしていかないといけない。来年につなげられるように」。プロのキャリアとはもちろん、1年目だけ評価されるものではない。
写真=BBM