
来季はシーズン完走を誓う松本裕
チームがクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージを控えた10月中旬、ヤフオクドームで行った紅白戦で、
松本裕樹はマウンドに上がっていた。CS、日本シリーズで大車輪の活躍を見せることになる
内川聖一に、左中間スタンドへの一発を浴びる。日本シリーズの出場有資格者40人枠からも外れ、結局、ポストシーズンでの登板なし。日本一の歓喜を横目に、秋季キャンプで鍛錬の日々を過ごすことになった。
昨季レギュラーシーズン最終盤の消化試合で一軍マウンドを踏み、3年目の今季、着実にステップを踏んだ。6月にプロ初勝利。故障者が続出した先発ローテの一角を担った。140キロ台半ばで打者を差し込む、スピンの効いたストレートは、
工藤公康監督も「スピードじゃないってことだね」とうなずく球質。「球を操る能力はウチでも1、2を争う」とまで言わしめる。
好素材は「今年1年、一軍で投げ続けるのを目標に」と踏ん張り続けたが、そこは初めて一軍で過ごすシーズン。調子は下降線をたどり、7月以降は勝ち星に恵まれない。救援にも回った上で、8月末に二軍降格した。レギュラーシーズン最終戦で再昇格し「腕を振ることを意識してやってきた。どれだけ出せるか」と意気込んでいたが、登板機会はなかった。
同じ高卒3年目のサウスポー・
笠谷俊介が日本シリーズ40人枠入りし、1年目の
古谷優人、育成の
長谷川宙輝ら、工藤監督期待の若手が伸びている。松本裕が彼らに優るのは、今年の経験。来季は真価が問われる。
写真=湯浅芳昭