
昨秋ドラフト育成1位で入団した張。支配下登録を目指し、ひたすら汗を流す
つかみたい目標があるから頑張れる。
高知で行われた秋季キャンプでの、ある雨の日のこと。室内での練習は半日で終了。キャンプも終盤にさしかかり、体の疲れもピークに達しているころだ。練習を終えた首脳陣や選手らが続々と帰路に就く中、室内練習場に逆戻りする選手の姿があった。
背番号122を背負う
張奕(ちょう・やく)だ。早期の支配下登録を勝ち取るべく「課題は打撃。技術的なことも大事だけど、今はとにかく数もこなしたいんです」と約30分間、黙々とバットを振り込んだ。
キャンプ中には貴重な機会にも恵まれた。打撃練習で逆方向に打球が飛ばせていない張を見かねた福良監督から、直接指導を受けたのだ。
足の使い方からスイングの軌道まで手取り足取り教わり「監督に言われてから打球が飛ぶようになりました。こんな機会はシーズン中にはないこと。だからこそモノにしたい」と力を込めた。
今季はファームで59試合に出場したが、打率は0割台に沈んだ。定評のある守備力と走力を生かすためにも、打力のアップは必要不可欠になっている。
指揮官も身体能力の高さに太鼓判を押す。
日本ハム時代、張の母方のいとこである
陽岱鋼(現
巨人)を指導していたため「プレースタイルもよく似ている。だからこそ力が出せていない現状がもったいない」と惜しそうに話す。
陽にあこがれ日本でプレーする道を選んだ張。7歳上のいとこに負けないジャパニーズ・ドリームを手にするべく、ひたすら練習の日々を送る。
写真=佐藤博之