
非凡な打撃センスだけでなく、内外野を守れるユーティリティーさも横尾の大きな武器だ
横尾俊建のスイングには誰もが目を奪われる華がある。体が反り返りそうなほどのフォロースルーも常にフルスイングを意識している証拠だ。毎球、並外れたパワーを持て余さず発揮してボールを遠く飛ばすことだけを考える。プロの水にも慣れた2年目の2017年シーズンは終盤だけで7本塁打を記録。確実性が増し、相手に脅威を与えられる選手となった。
日本球界では希少な右のパワーヒッターは、黙々と3年目の大ブレークへ牙を研いでいる。オフは二軍本拠地の鎌ケ谷にはほとんど姿を現さない。母校の慶大のグラウンドなどで、とことん打撃マシンなどを相手に打ち込んでいるという。オフ期間の食事メニューも、球団の管理栄養士に発注して組んでもらった。トレーニングと食を充実させて、効率的にパワーアップに励んでいる。
昨季は本塁打を放った際に繰り出した両手で“おにぎり”を握るポーズが話題を呼んだ。「おにぎり君」の愛称もファンの間で定着。自身の目指すプレースタイルも「野球人生としてホームランにこだわっていきたい」と、定まった。プロ入り後は結果を求めすぎて、安打狙いのコンパクトなスイングになった時期もあった。自分を見つめ直し、軌道修正した方向性に自信もある。同時にあくなき向上心もある。ドラフト1位で入団してくる高校通算111本塁打のルーキー・
清宮幸太郎にも「先輩後輩関係なく、ホームランの打ち方とか聞きたい」。どん欲な新世代のホームランアーチストは、どんな進化を2018年シーズンに見せてくれるのか。新生ファイターズ打線のキーマンの1人になってくれそうだ。
写真=BBM