
昨年は8月24日の広島戦(横浜)ではサヨナラ打を放つなど勝負強さが光った
奇策と騒がれたのはもう、昔のことだ。今年1月16日。恒例となった新潟市内でのトークショーで、
ラミレス監督がマイクを握った。現時点での開幕スタメンを公表。胸を張って「九番・倉本」と
コールした。
八番に投手を入れるオーダーは昨年5月から採用し、60勝45敗(4分け)。当初こそ采配の合理性が問われたが、しっかりとした結果でそれらをはね返した。忘れてはいけないのが
倉本寿彦の働きぶり。「(メンバー表を)2度見、3度見しました」と戸惑ったのは最初だけで、一番の
桑原将志から上位打線へつなぐ役割をすぐに理解した。打率.262にとどまっても、得点圏でリーグ2位の打率.342。期待されるのは当然の流れだった。
あこがれの
石井琢朗が着けた背番号「5」を継承。遊撃のポジションを完全に確保したのが一昨年だった。もともと守備は安定しており、課題だったバットで打率.294と向上。昨年はレギュラーシーズン、CS、日本シリーズと全156試合でフルイニング出場を果たした。
長打が少ない代わりに、確実性を重視。ラミレス監督も「非常に勝負強い。ショートとして本当に素晴らしい数字を残している」とストレートに褒め上げた。
阪神からFAで加入した
大和はまず、二塁での起用が見込まれるが「もう1回、アピールしないと。僕は僕でやるしかない」と慢心はない。真価の問われる4年目。“隠れポイントゲッター”は変わらず、渋い輝きを放つ。
写真=桜井ひとし