
藤岡はもう一度先発として勝負をかける
7年前のドラフト1位が、本来の働き場所に戻ろうとしている。不本意ながらリリーフに回った昨季は、自己最少の登板10試合にとどまり、防御率16.62と散々だった
藤岡貴裕。東洋大時代、150キロを優に超える速球を武器に大学選手権を2連覇した左腕は「今季は先発で勝負したい」と、貪欲にアピールしている。
昨季は自身だけでなく、
ロッテにとっても屈辱的なシーズンになってしまった。「忘れてはいけないものは残しつつ、いい意味で忘れたい」と心機一転。キャンプでは先発登板を意識し、ブルペンに入る回数を少なくしながら1回の投球数を多くして調整。
清水直行投手コーチが「自分から『先発したい』という気持ちを評価している」と語るように、当面は本人の意思を尊重してのテストが進みそうだ。
2月21日に沖縄で行われた
広島との練習試合は、チームにとって今季初となる日本球団との対外試合だった。そこで2番手に指名され、2回1安打無失点の好投を披露した。特に手応えを得たのは広島の四番候補・
鈴木誠也との対戦だ。「意図したところに投げられた」と見事に詰まらせ、強打者を遊飛に打ち取った。最速は138キロだったが、「球速はぼちぼち。アピールしないといけない立場なので、少しずつ上げていきたい」と明るい表情を見せた。
新戦力では
ボルシンガーや
渡邉啓太が先発候補に名乗りを挙げ、エースの
涌井秀章も残留した。徐々に投球回を伸ばしながら、まずはチーム内の争いを勝ち抜く。
写真=高塩 隆