
チームが苦境のときにこそ、岸の力が必要だ
地元に戻って2度目の開幕を迎えた。FAで生まれ育った宮城に帰ってきた
岸孝之は4月3日、本拠地開幕戦となる
日本ハム戦(
楽天生命パーク)で今季初先発。8回3安打無失点とほぼ完璧な投球を見せたが、チームの勝利にはつながらず「(調子は)最高でした。(勝てなかった)そこだけだと思います」と無念さをにじませながら振り返った。
プロへの道を切り開いた場所でもある。名取北高では無名に近い存在だったが、東北学院大へ進学し急成長。4年春には仙台六大学野球リーグ新記録となる92奪三振をマークするなど、34季連続優勝を続けていた東北福祉大の連覇を阻み、チームを35季ぶりの優勝へと導いた。大学日本代表としても活躍。希望入団枠でのプロ入り(
西武)を果たした。
地元でのプレーを希望し、2016年オフにFA 宣言で楽天入り。移籍には、交渉にあたった故・
星野仙一氏(当時楽天球団副会長)の後押しもあった。「声をかけてもらってなかったら、地元のチームでやれていたか分からない。まだ恩を返せていない。今年1年頑張って、いい報告をできれば」。強い思いで今季に臨んでいる。
4月29日時点で4試合に先発し1勝1敗、防御率2.48。チームが流れに乗れていないこともあり、勝ち星は思うように伸びないが、先発として最低限の働きはしている。初登板後には「最終的に勝てればいいので、最終的に」。地元での優勝だけを目指して、長いシーズンを戦い抜いていく。
写真=井沢雄一郎