
強気な投球とともに東をキャラクター付けているのが試合途中の“もぐもぐタイム”だ。おいしそうにバナナを頬張る
左手でグラブを2度たたいた。大仕事をした
東克樹のもとへ、ナインが集まってきた。ペコペコとお辞儀をしながらハイタッチ。「気持ちいいですね。まさか1年目からできるとは思っていなかったので……」とプロ初完封を素直に喜んだ。
5月16日の
阪神戦(甲子園)は5対0で完勝。左腕の独壇場だった。初回は四球から一死二塁のピンチを迎えたが、
糸井嘉男を見逃し三振。
福留孝介は中飛に仕留めた。3回まで無安打と飛ばし、8回を終えた時点で、許したヒットは福留の左前打による1本だけ。9回も落ち着いていた。無死一、二塁とされても、福留を遊ゴロ併殺。最後は
ロサリオにチェンジアップを打たせ、遊ゴロでシャットアウト劇を完結させた。
今季、ドラフト1位で入団し、即戦力として十二分の働きを見せている。先発陣は2年連続で開幕投手を務めた
石田健大が1勝、昨季そろって2ケタ勝利をクリアした
今永昇太、
濱口遥大、
ウィーランドの3人でまだ2勝。誤算続きの中で、チームトップの5勝は価値がある。
防御率2・01はセ・リーグ1位。さらに先発投手にとって最低限の仕事とされるQS(6回以上を投げて自責点3以下)も、10試合のうち8度記録(成績はすべて6月8日時点)。よほどの失速がなければ、オールスター選出は確実だろう。
昨年は新人だった浜口が監督推薦で球宴に選出され(試合は左肩の違和感により出場を辞退)、シーズン10勝と飛躍を遂げた。150キロ前後の快速球だけでなく、試合中にバナナで栄養補給する“もぐもぐタイム”にも注目。晴れ舞台は手の届くところにある。
写真=大賀章好