
内角直球を“技あり”の一打で左翼ポール際に運んだ秋山
特別な試合だった。6月1日、
阪神との一戦(メットライフ)は左肩の機能低下で約1カ月離脱していたエース・
菊池雄星の復帰戦。本人にとっても、また5月を10勝14敗と負け越したチームにとっても絶対に勝ちたかった一戦だった。
「後ろから見ていて心配になるぐらい、力が入っていた」
中堅の守備位置からを見守っていた
秋山翔吾は、左腕のマウンドでの姿に、並々ならぬエースの責任感を感じ取り、闘志を燃やした。初回を無事に0点で抑えたその裏、いつもどおり先頭の打席に立つと、フルカウントからの7球目だった。阪神・岩貞の147キロの内角直球を左翼ポール際へ運んだ。
「追い込まれていたので、粘っていこうと意識しました。届くとは思わなかったですが思ったよりも手応えが良くて、結構伸びました」
エースに先制点という大きなアドバンテージをプレゼントすると、菊池もそれに応え、2回には3者連続三振など完全復活をアピール。さらに3回、秋山は一死から中前打で出塁すると、四番・山川の適時打で追加点のホームを踏んだ。2点のリードがあれば、菊池には十分。6回3安打9奪三振の無失点でマウンドを降りると、後続の中継ぎ陣も無失点で抑え、チームは快勝した。
価値ある勝利に演出したのは、間違いなく秋山の出ばなの一撃だ。
「雄星の復帰登板を、みんなが待っていた。あれだけの良い投球をしてくれたので、早めに援護できてよかった」
今季2本目となる初回先頭打者本塁打は、エースへの最高の歓迎エールとなった。
写真=BBM