
昨夏の悔しさは忘れていない
夏からの挽回へ――。交流戦で12勝6敗、勝率.667と、球団史上初の最高勝率に輝いた
ヤクルト。そんな中で2勝を挙げたのが、帰ってきたエース・
小川泰弘だ。昨年10月に疲労骨折をした右ヒジの手術を受け、開幕は二軍スタート。約7カ月のリハビリを経て、5月27日の
DeNA戦(神宮)で、復帰後初勝利を挙げた。
「夏からシーズンも後半に入っていく。遅れた分を取り戻すわけではないけど、チームに戻れて先発ローテーションを守らせてもらっているので、全力で全うしたい。勝利に貢献したいです」
昨夏は、悔しさが残った。抑えとして、9回のマウンドに上がった7月7日の
広島戦(神宮)。1イニング6失点で逆転を許す“七夕の悲劇”を味わった。だが、決して夏が苦手なわけではない。昨季まで7、8月には40試合に登板し、20勝14敗、防御率3.67。投手にとって夏は疲労がたまる季節でもあり、状態が上がらないことも多いが、燕のエースは毎年フル回転の活躍を見せている。
「手術明けなのを忘れずに、ケアの意識を強く持って、先発ローテを守っていきたい。そして、目の前の試合を全力で勝ちにいきたい」
焦らず、一歩ずつだ。術後の現在は、練習前後のストレッチを欠かさず行い、マッサージを受けるなど、ケアに余念がない。トレーニングも「体調によってはやらない日も作ったり」と状態を見極めながら進める。ここからが夏本番。セ界の“台風の目”になるべく、背番号29が力投を見せる。
写真=小山真司