
確かな存在感でブルペンを支える南
試合が始まってしばらく経つと、
南昌輝はおもむろに立ち上がり準備を始める。いつかは分からない出番に備え黙々と。ビハインドのこともあれば、わずかなリードでバトンを受けることもある。「信頼してもらえている。毎回、納得してマウンドを降りられるようにと思って投げている」。目の前の相手に集中し、2年前にマークした自己最多の57試合登板を更新する勢いだ。
今季就任した
清水直行投手コーチはキャンプで南を見て、まず力のある直球に目を見張った。長所も短所も、性格も把握した上で開幕からブルペン陣に加えた。清水コーチは「ブルペンで準備を怠らない投手。出番を予測しながらしっかり準備してくれるから、こっちもタイミングよく使ってあげたい」と親心を口にする。
昨季は右肩の負傷で思うような投球ができなかったが、もうすっかり回復した。「今は腕がしっかり振れている」と2季ぶりの白星にも恵まれ、充実感に満ちている。以前は四球を怖がっていた部分があったが、いい意味での開き直りも覚えた。「結局はホームにかえさなければいい。そう思ったら気持ちに余裕が出ました」。剛球をどかんと投げ込めば、緩いカーブもより生きる。
シーズン折り返しの時期となり「ここまでは出来過ぎ」と笑う。「今後は相手にデータも増えるし、体力的にきつくもなる。しんどい中でいかに踏ん張るか。成長しないと」と、後半戦に向けて微塵もおごりはない。
写真=BBM