吉川尚輝にとって実質的なデビューイヤーとなった。「去年は即戦力と言われながら、何もできなかった」。1年目の昨季は上半身のコンディション不良で新人合同自主トレから出遅れ、一軍出場わずか5試合。悔しさをバネに2年目に飛躍を遂げた。
高い潜在能力を買われ、今季は二塁手のレギュラーの座をつかむと、守備範囲の広さと俊足で、数字に残らぬ活躍も目立った。打撃面では一軍のレベルに苦戦し、前半戦終盤にはドラフト5位ルーキー・
田中俊太に先発の座を奪われたこともあった。それでも7月8日の
広島戦(東京ドーム)でスタメン復帰して以降は、打撃好調。同22日の広島戦(マツダ広島)では3号2ランを含む自己最多4安打を放ち、「しっかり振れるようになっているので、これを続けていきたい」と手応え。11個の盗塁もマークするなど、走塁面でも欠かせない力になりつつあった。
守備面では7月16日の
阪神戦(甲子園)で
坂本勇人がワキ腹を負傷し、出場選手登録を抹消されたあと、代わりに遊撃を任され、十二分にカバー。吉川尚はプロ入り後に二塁に転向するまでもともとは遊撃手。中京学院大時代は日大にいた
中日・
京田陽太と並ぶアマ球界最高ショートとの呼び声も高かった。久々の“本職”で、主将離脱のチームを救っていたのだが……。
8月1日の
DeNA戦(横浜)で、一塁に頭から滑り込んだ際に左手を骨折。終盤戦での復帰を目指すが、果たして。
写真=BBM