
従来の甲子園記録を次々と塗り替えた
鮮烈な印象を残したあの夏から、もう6年が経つ。桐光学園高の2年生エースだった
松井裕樹は、2012年夏の甲子園に出場。今治西高との1回戦で、10連続奪三振と1試合22奪三振の大会記録を樹立した。続く常総学院高との2回戦でも19奪三振。準々決勝で光星学院高に敗れたものの、4試合36イニングで68奪三振を記録し、その名を甲子園の歴史に刻み込んだ。
14年ドラフト1位でプロ入り。1年目こそ先発で4勝8敗とやや苦しんだが、2年目からは守護神を任され昨季まで3年連続30セーブをマークしてみせた。侍ジャパンの常連にもなり、順風満帆のプロ野球人生を歩み始めていたが、引き続き守護神として期待されていた今季は、初めてともいえる大きなスランプに陥っている。
開幕から状態が上がらず、5月4日の時点で0勝3敗2セーブ。11試合の登板のうち7試合で失点し、防御率は6.55だった。梨田監督(当時)は5月11日から
ハーマンに抑えを託し、松井を8回に配置転換して復調を待ったが、6月7日に登録抹消。「本来のボールではなかった」と説明した。
再登録は7月6日。その後も、失点する試合もあったが、7月最後の登板となった29日の
ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)では、力のある直球で復調を感じさせた。「力みが出て、決めにいきたいときにバランスが崩れる。手応えも課題も見つかったので克服していきたい」。チームも後半戦は快進撃。借金20から奇跡を起こすには、左腕の復活が絶対条件となる。
写真=BBM