
マツダ広島での7月6日の広島戦で遊撃内野安打をもぎ取ると、二盗と相手捕手の悪送球で一気に三塁を陥れた巨人の吉川大幾
コツコツと、与えられた仕事を果たしてきた。吉川大幾はチームに欠かせない“便利屋”に成長したと言える。
「試合の途中で行くから、僅差の場面や勝負所での出番が多い。途中出場は、ミスをしても取り返すチャンスはない。だからといって、失敗を怖がったら体が動かない。『最低限、これはしたらダメだ』とだけ考えるようにして、思い切っていくようにしています」
チームは2年目の
吉川尚輝、新四番の
岡本和真、ルーキーの
田中俊太ら若手内野手が台頭。
中日から移籍後3年目の昨季はケガなどもあり、一軍出場ゼロに終わった吉川大にとって、厳しいシーズンも予想されたが、今季はここまで開幕から一軍にフル帯同。主に代走、守備固めで起用され、8月30日時点でキャリアハイの83試合に出場している。
スポットライトが当てられたのは7月6日の広島戦(マツダ広島)だった。2点リードの8回一死で、吉川大はエース・
菅野智之の代打で登場。ヘッドスライディングで遊撃内野安打をもぎ取ると、二盗と捕手・会沢翼の悪送球で一気に三進。貴重な追加点をもたらした。その試合後、ヒーローの菅野が取材の最後に自ら切り出し、「吉川大幾が出ましたけど、彼はいつもすごく準備をしているなと思います。今日のヒーローは(坂本)勇人さんと僕かもしれないですが、彼の存在はうれしかった」と絶賛。今季の吉川大の働きぶりが分かるシーンだった。
「僕は脇役なので」と謙遜する26歳のいぶし銀が、堅実な仕事でチームを支えている。
写真=BBM