
今季、厳しい場面を何度も救ってきた。中継ぎというポジションで大きな飛躍を遂げた
前を向き、地道に取り組んできた証しだ。当初の主戦場はビハインドゲーム。そこから結果と信頼を積み重ね、
三嶋一輝は欠かせない存在になった。
「どのポジションで投げたいとか、そういうこだわりはありません。とにかく与えられたところで、精いっぱい頑張るだけです」
シーズン終盤に差しかかり、2位以下のチームすべてにCS進出の可能性がある大混戦。3年連続出場へ、右腕にかかる期待は相当なものだ。ここまでのチーム完投数はセ・リーグ最少の2。フル稼働状態のブルペンで49試合に登板し、6勝1敗12ホールド、防御率2.83と機能している。勝ち試合の8、9回は
パットン、
山崎康晃が基本形。着実に番手を上げ、今は2人へつなぐ重要な役割を任されている。
2対0で完封勝利を収めたのが8月22日の
巨人戦(横浜)。8回にパットンが二死満塁のピンチを招くと、
ラミレス監督は迷うことなく背番号17を投入した。勝負強い
マギーに対しスライダーで右飛。完璧な火消しだった。7月こそ8試合で防御率5.63と状態を落としたが、8月は11試合で防御率2.08と復調。被打率も右打者(.181)と左打者(.225)とともに大崩れしていない。
プロ6年目。新人だった2013年に6勝を挙げ、エース候補として注目を集めた。
中畑清監督から開幕投手に指名された翌年は1勝だけ。そこから昨年まで計7勝と苦難を乗り越えてきた。座右の銘は「堂々」。有限実行の姿が、とてつもなく頼もしい。
写真=神山陽平