
中村はクリーンアップを任せられていることへの自覚が強まった
明るい話題ばかりの試合だった。前日に通算2000安打を達成した
福浦和也が出場選手登録を外れ、
安田尚憲と
菅野剛士のルーキー2人が合流した9月23日の
楽天戦(楽天生命パーク)。3回に先制されながら、しっかり
岸孝之を攻略して8対3で快勝し、
井口資仁監督は「今日から若手が出て、その若い力で勝てた。いい形」と喜んだ。
先制された直後の4回に「今日は子どもの誕生日だから打ちたかった」と
角中勝也が右中間に適時二塁打を放って口火を切る。5回には
中村奨吾が勝ち越しの6号2ランを豪快に左翼席へたたき込んで勝ち越し。9回は宮城県出身の
平沢大河が地元ファンの待つ右翼へ4号ソロを放った。安田も
西宮悠介から左前打を打って左腕からの初安打をマークし、先発の
涌井秀章には2カ月ぶりの6勝目がついた。
特に井口監督が声を弾ませたのは、自身の現役時代とスタイルが重なる中村の話題だった。「今季は率にこだわって思い切り振れていなかった。(一塁に出て)盗塁したいという思いもあるだろうが、長打を狙う中で率を上げていってほしい」。プロ初タイトルとなる盗塁王を狙いたくなる気持ちを理解しつつ「三番」を任せている意味を伝えた。
指揮官の思いに応える豪快なアーチを放った中村は「しっかり出塁することを継続させながら長打も追い求めていきたい。クリーンアップを任せてもらっているのだから」と口にした。大ベテランの偉業が成った翌日は、将来への希望の光にあふれる日となった。
写真=BBM