
2年連続の日本一へ、内川聖一に自らのバットで導いてほしい
久しぶりの笑顔だった。
西武とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦(10月17日、メットライフ)の7回。代打で登場した内川聖一が、
平井克典の初球をこともなげに中前へはじき返した。「バットを出したら当たった」とうそぶいた一打。2カ月ぶりの一軍で即結果を出した。
5月に通算2000安打を達成した場所。その後、苦しみ抜いた。8月に体調を崩し離脱すると、右肩痛もあり戦列復帰できないままシーズン終了。移籍後最少71試合出場、打率.242と目を疑うような成績だった。
CS史上最多の3度MVP(最優秀選手)に輝き、昨季
楽天とのファイナルステージでは4戦連発の離れ業。フェ
ニックス・リーグでは、調整登板していた西武・
多和田真三郎と
榎田大樹を打ち、ファイナルステージ進出決定後に昇格が決まった。
スイングの鋭さは増していく。第3戦(10月19日)では移籍後初の七番で先発出場。6回、通算2000安打を放った
武隈祥太から左中間へソロも放った。「欲を言えば、もっと早い回に流れの中で打ちたかった」。口調も戻った。プレーオフ、CS通算8発目はこの時点でT.ウッズ、
和田一浩(ともに元
中日)、
中村剛也(西武)に並ぶ通算最多。後に中村が9発目を放ったが、内川は通算47安打、26打点で単独最多になった。
このCSのMVPは四番・
柳田悠岐。ただ
松田宣浩の不振をカバーするように、バットで存在意義を示したのは間違いない。日本シリーズの最後、キャプテンの活躍を誰もが待っている。
写真=BBM