
ついに自らの真価を見せるシーズンとした井上
2014年の開幕戦はルーキーながら四番を任された
井上晴哉。ドラフト5位からの抜てきで順風満帆のスタートを切ったかに思えたプロ野球人生だったが、その後4度あった契約更改を経ての18年の年俸は推定1350万円。4年間の昇給額は、わずか150万円。ドラフト2位ルーキー・
藤岡裕大の推定1430万円よりも下だった。
「ずっと使ってもらって、チームや周囲を見られるようになった。このキャンプは中心で引っ張っていけるようにしたいです」
千葉・鴨川での秋季キャンプイン前夜となった10月31日、背番号44の意気込みは昨季までと全く違っていた。一軍定着すらままならず、4年間で計111試合、4本塁打、34打点だったが、今季は133試合、打率.292、24本塁打、99打点。未完の大器の才能は突然、目を覚ました。そしてグラウンドで出した結果が、チームのことを考える責任感も芽生えさせた。
お立ち台で場内をどっと笑わせるなど、もともとファンを楽しませる腕は認められていた。井口監督が“走塁改革”を掲げた今季は日本人選手最重量である114キロの体を揺らし、4月28日の
日本ハム戦(ZOZOマリン)でプロ初盗塁。「けん制してもらえた!」と茶目っ気を見せるなど、コメント力も魅力の一つだが、それにようやく、本業も追いついてきた。
約3倍増となる年俸4000万円が、攻防ラインになりそうだ。オフの契約更改では満面の笑みとともに現れ、そのトーク力で笑いの絶えない会見が繰り広げられるだろう。
写真=BBM