
減俸または現状維持が大半を占めるなかで、アップを勝ち取った佐藤
5位に終わった順位のように、今年の契約更改も厳冬のドラゴンズ。しかし、年俸の大幅アップを勝ち取った1人に、
佐藤優がいる。6月末の交流戦明けからブルペンを支え、終盤は守護神として試合を締めた。クローザーを固定できなかったチームを救った貢献度は計り知れない。
140キロ台後半の直球とキレのあるスライダー、落差のあるフォークを組み合わせて打者を打ち取る。8月24日の
広島戦(マツダ広島)でプロ初セーブを挙げると、不調だった
田島慎二、
鈴木博志、R.マルティネスに代わる新・守護神として支えた。3年目で自己最多の42試合に登板し、1勝2敗5セーブ10ホールドをマーク。防御率2.08も立派な数字と言っていい。
躍進の要因の一つに、大先輩からのアドバイスがあった。佐藤は打たれたときなど、マウンドでの表情に表れてしまうことが多かった。今季限りで現役を引退した
荒木雅博からの言葉で変わった。「3アウトを取って、スパイクを履き替えるまで自分の中で『ヨシッ』というふうに思うな。隙を見せると何が起こるか分からない」。荒木の金言を意識するようになって、顔に表情を出さないように心掛けた。クローザーとして経験を積むうちに佐藤も「冷静に落ち着いて投げられるようになってきた」と自信も芽生え始めた。
公式戦終了後には、チームメートの
笠原祥太郎とともに侍ジャパンに選出。日米野球に出場した。2本の本塁打は浴びたが、リリーフして1勝。悔しい思いも、喜びも味わった。選出されたことで自信も得た。この経験は、必ず来季に生きる。
11月18日に行われた契約更改では、今季の年俸1100万円(推定)から約2倍増の2000万円(同)でサイン。「この仕事をしている以上、そこ(守護神)が一番いいポジション。抑えた分だけ喜びも大きい」と佐藤。年俸には、その選手への信頼度が数字に表れる。年俸も信頼も右肩上がりを目指して、来季も最終回のマウンドを守るつもりだ。
写真=BBM