
内外野を守れるユーティリティープレーヤーとして存在感を発揮する杉谷
球界の「いじられキャラ」こと
杉谷拳士がプロ10年目を終えた。今シーズンは70試合に出場し、打率.231。「昨年と一昨年はケガをしてずっと迷惑を掛けていた。今シーズンは大きなケガもなく1年間できたのは良かった」。2016年は右手有鉤骨を骨折。昨季も開幕前に左ワキ腹を肉離れするなど故障が相次いだ。今季も8月に左背筋肉離れで離脱したが、2週間で戦列に復帰。ほぼシーズンを通して一軍で戦力となった。
背水の決意だった。昨年は一軍に定着した11年以降では最少の35試合出場にとどまった。オフも野球漬けで過ごすため、単身でオーストラリアへ武者修行。現地のプロリーグに自ら参加して2月の春季キャンプイン直前まで実戦をこなした。
キャンプ、オープン戦とアピールを続けて2年ぶりの開幕一軍キップをつかみ、シーズンではユーティリティープレーヤーとして重宝された。内外野を守れ、代打や代走もこなした。スタメンでは6月23日の
楽天戦(楽天生命パーク)で一番でスタメン出場し、岸から自身初の先頭打者本塁打。要所で印象的な活躍を見せた。
持ち前の元気は10年経っても健在。先輩、後輩問わず、いじられながらムードメーカーとしての役割も務める。レギュラーの座はつかめていないが「サブで終わりたくはない。セカンドでレギュラーを取りたい」。まだまだ若手に負ける年齢ではない。毎試合、突き抜ける明るさをグラウンド上で放つ日をファンは待っている。
写真=BBM