
9回のマウンドは譲らない
思わず笑みがこぼれた。今季実戦初登板を終えた松井は、取材に応じると白い歯を見せた。3月12日、
DeNAとのオープン戦(静岡)でようやく実戦初登板。6点リードの最終回を3人でピシャリと抑え、今年の第一歩を踏み出した。
直球は最速150キロを計測。最後の打者は改良した135キロのスライダーで、見逃し三振を奪った。変化が小さく高速化したスライダーを生かすべく、120キロ台のカーブも投じた。「恐怖心を打ち破れた。無事に試合を消化できたことが一番の安心材料です」と手応えをにじませた。
2015年から3年連続で30セーブ以上をマーク。クローザーの座を不動のものとしたと思われたが、昨季は不振にあえぎ、わずか5セーブという成績に終わった。今季は守護神の座を再び奪いにいく立場となった。
巻き返しへ向け、並々ならぬ決意を持って臨んだ久米島キャンプ。序盤から順調な仕上がりを見せた。だが、2月19日に腰に違和感を覚えたため、一時は別メニュー調整。全体練習への合流を焦るあまり、痛みを再発させたこともあったが、3月に入ってようやく復調し、不安なく開幕を迎えることができた。
いよいよ開幕したペナントレース。守護神の座は、誰にも譲れない。
写真=BBM