
その座は譲らない
大ピンチで
コールされた投手は、やはり
松井裕樹だった。4月17日の
西武戦(
楽天生命パーク)。4点リードで迎えた9回。
石橋良太が四球と連打で無死満塁の危機を招くと、本拠地のマウンドには守護神が上がった。
だが
秋山翔吾に中前打を許し7対4。しかし一発出れば逆転という緊迫した場面で、本領を発揮する。
山川穂高、
森友哉をともにスライダーで空振り三振に仕留めると、最後は
中村剛也を遊ゴロ。3人の強打者を抑えて、6セーブ目をマークした。
2015年から3年連続30セーブ以上を挙げたが、昨年は不振にあえぎ自己最少の5セーブに終わった。チームは守護神候補として
ブセニッツを獲得。今年のキャンプは横一線でのスタートとなった。
ただ本人は、誰にもその座を譲るつもりはなかった。「自主トレから抑えをやるために練習してきた」と左腕。1月の自主トレではヤンキースの
田中将大にも助言を受け、フォーム改造に着手した。
変えたのは右ヒザの使い方だ。ほぼ突っ張っていた膝を、踏み出すときに曲げ、リリースの瞬間に伸ばす。下半身を柔らかく使うことで「左手が走り、腕を使うことなく強いボールが投げられる」。
さらにスライダーにも改良を加えた。曲がり幅は今までより小さく、球速は130キロ中盤にアップした。カウント球としても勝負球としても威力を発揮している。
「昨年苦しんだ分、一皮むけたと思います」と平石監督。6年ぶりの優勝を目指すチームに、守護神・松井は欠かせないピースだ。
写真=BBM